実践事例中学校1年1人1台タブレット

英語

ロイロノート・スクールを用いた「生徒による」テスト解説


常翔学園中学校・高等学校
グリーン 和代教諭

ロイロノート・スクールを用いた「生徒による」テスト解説を行うことで、教えあい・学びあいを深めていきます。

長年、テスト返却後の解説について頭を悩ませてきました。テスト前は懸命に勉強する生徒たちですが、返却後の教師の解説時はモチベーションが下がり、注意が散漫になっていました。そこで、思いきって教師によるテスト解説をやめ、生徒が自ら解説する方針をとることにしました。
本時ではロイロノート・スクールを活用して、教えあいや学びあいを深められるような活動を行いました。

① 解答の導き方を、『文法的な理由も含めて』4~5人班のグループで話し合う。その際、メモを取り、実際に解説を録画(録音)する時の資料とする。

② 割り当てられた問題と答えをロイロノート・スクールのカードに記入する。分かりやすく、オリジナリティのある解説を工夫して作成する。

③ 資料作成後、個人もしくはペアで解説を行う。ペアの場合、生徒役と先生役に分かれ、質疑応答をする場面をタブレットで録画(録音)する。

④ 録音、録画を終了した後、そのカードを教師に送り、生徒と『回答共有』する。クラスメートが作成した解説を視聴できるので、各々が相互評価する。

⑤ 教師が評価、生徒へのフィードバックをした後、優秀な解説はロイロノート・スクールの資料箱に入れ、学年の生徒が見られるようにする。生徒はそれを見てテストの復習を行い、自学ノートにまとめて学びを深めていく。


ロイロノート導入のメリット

  • 生徒によるテスト解説を行うことで、生徒による主体的な活動が生まれ、生徒同士の教えあい、学びあいが生まれました。スローラーナーはもちろん、他の生徒にとっても、友達が作ったオリジナリティ溢れるロイロノート・スクールの解説を視聴することにより、学習効果が高まったようです。
  • ロイロノート・スクールを活用することによって個別指導が容易となり、ポートフォリオとして残すこともできるようになりました。発音指導においては音声入力を利用することで、生徒の発音が文字として出力されるため、即時の視覚的評価を得ることができます。そうすることで発音矯正のモチベーションも高まりました。
  • 教師はこれまで、個々の発音のチェックと矯正に時間を取ることが難しかったですが、今は、発音の音声入力中に生徒達がよく間違える単語や発音しにくい単語をピックアップし、全体指導や個別指導につなげることができています。教師が全てを教えるのではなく、ロイロノート・スクールなどの教育アプリを活用して、「生徒が自ら学び」、「自分の間違いに気づき」、その間違いや疑問を現場にいる「教師が支援」し、「学習を深めていく」というスタイルに変容してきました。

実践の目標

  • 文法かるた(かるた形式で文法事項を説明したプリント)を参考にし、論理的に問題の解説ができる。
  • 資料はロイロノート・スクールで作成し、学習者が理解しやすい解説、そして見ていて楽しめる解説を作ることができる。
  • ペアで先生役、生徒役に分かれる場合、生徒役は問題に対してどんどん質問を行う。また、先生役はその質問に対して解説を行い、その場面を録画(録音)することができる。

実践の場面

1. 解説する問題を提示する

教師はテストを返却後、解説をせずに全体的に間違いが多かった問題を提示する。生徒に解説してもらう問題は、①テスト問題全部、②自分が間違えた問題のみ、③正答率が低かった問題の3パターンに分類した。
(授業中にこの活動を行う場合は、授業時間の関係上、③の正答率が低かった問題の解説を生徒にしてもらうことが多い。)

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2. 問題の解き方や文法的な理由付けについて考え、意見交換する

どのように解けばよいのか、『文法的な理由も含めて』4~5人班のグループで話し合う。勘や何となく解くことから脱却し、学習した文法上のルールを活用して、論理的に考えることを意識させる。また、グループで解き方について話し合う時は、必ずメモを取り、実際に解説を録音するときの資料とした。

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3. 解説に必要な資料を作成する

割り当てられた問題とその答えをロイロノート・スクールのカードに記入する。後に解説を録音する際、見てくれている人が理解しやすいよう資料を工夫して作成するよう指示した。
また、オリジナリティを持って説明するよう指示すると、生徒は試行錯誤して楽しい文法解説を考えてくれた。

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4. 解説の様子を録音(録画)する

解説している様子をタブレットで録画、または録音をする。
その際、個人で解説を行う、もしくは生徒役と先生役に分かれ、質疑応答をする場面を録音、録画するようにした。解説時間は短めに設定し、短い時間の中で分かりやすい解説を行うよう心掛けることを指示した。生徒役と先生役に分かれて解説を行う場合は、生徒役の人は全く理解できていない設定にし、沢山の質問を先生役にぶつけることとした。先生役の人はその難しい質問にも的確にわかりやすく答えられる必要がある。

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5. クラスメートが作成した解説を視聴し、相互評価する

録音、録画を終了した後、そのカードを教師に送り、生徒と『回答共有』をした。生徒は、クラスメートが作成した解説を視聴できるので、各々が相互評価する。それを見て、自分の説明間違いや、より良い解説方法などを発見した生徒は撮り直しをしても構わないこととした。

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6. 学年の中で優秀な解説をピックアップして紹介する

教師が評価、生徒へのフィードバックをした後、優秀な解説はロイロノート・スクールの資料箱に入れ、学年の生徒が見られるようにした。生徒はそれを見てテストの復習を行い、自学ノートにまとめる。自分の解説が他人に聞かれることにより、いい解説動画を作ろうとする意識は高まるようだ。また逆に、友達の優秀な解説を見ることによって、自分とは違った視点を持ち、学習を進めることができる。
このように、生徒自身が考え、それを自分の口で説明することによって、教師は生徒の真の理解度を確認することができる。

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