実践事例中学校1年4人以上1台→2人1台タブレット

国語

話題や方向を捉えて話し合おう


仙台市立広瀬中学校
有田 みどり教諭

意見に対する根拠と、それぞれの意見のよい点や問題点を明らかにした話し合い活動を振り返り、結果と反省点を全体に共有することで今後に活かす力を育てます。

「学年ミニ運動会を行うとしたらどの競技がよいか?」という話題について、話し合いを行いました。
まず、1時間目では話題や方向を捉えた話し合いに必要なポイントを確認した上で、話題に対する自分の意見と根拠、他の人の意見や問題点や良い点を考え、質問したいことをまとめました。
そして2時間目にグループで話し合いを行い、その様子をロイロノート・スクールで録音して提出しました。教師は次の授業までに提出された録音を聞き、グループごとに話し合いの傾向に沿って振り返りのポイントを作成しました。
3時間目に、タブレットを2人に1台とイヤホンを2人に1本配布し、男子同士・女子同士のペアで前時に行った話し合いの録音を聞きました。気になった点は巻き戻しをして、繰り返し聞く姿も見られました。録音を聞きながら、具体的にどのような発言をすると良くなるかワークシートにメモをして、個人で考えた反省点・良かった点をグループで共有して話し合い、結論と反省点をクラス全体に発表しました。最後に、教師が論点となったポイントや全体的に見られた課題などについて補足し、まとめを行いました。


ロイロノート導入のメリット

  • 生徒が録音を聞いて振り返ることで、「声が小さい」や「質問が少なかった」といった大まかな反省点だけでなく、「〇〇という意見について『~~』という内容を言えば説得力が増した」など、話題や方向を捉えた話し合いをする上で必要な具体的な改善点を見つけることができました。
  • 録音を提出することにより、教師が各班の話し合いで出た発言を詳細に確認し、振り返りの際に教師から班ごとにポイントを提示することで、生徒自身が具体的な改善点を見つけられるよう促すことができました。
  • 個人が作成したデータを簡単に共有できるため、データの移し替えなどの手間をかけず、教師による録音データの確認や、生徒による録音データの確認をスムーズに行うことができました。
  • 教師が録音を聞くことによって、ワークシートには表れない生徒の話し合いの様子を詳細に確認し、評価に生かすことができました。

実践の目標

  • 話し合いの話題や方向を的確に捉え、根拠を明確にして話す。
  • よい点や問題点を見つけ、質問し合うことでそれらを明らかにする。
  • 話題や方向を捉えた話し合いができたかどうかを的確に自己評価する。

実践の場面

1. 授業の流れと、話し合いの流れを確認する

「学年ミニ運動会を行うとしたらどの競技がよいか?」という話題についての話し合いを録音し、次時に振り返ることを予告した。
次に、司会用のシナリオをもとに話し合いの流れを確認した。前時にワークシートにまとめた自分の意見と根拠、他の人の意見の良い点と問題点を参考にして、質問したいことを再確認した。

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2. 話し合いを行い、録音をする

グループで話し合いを行い、その様子をロイロノート・スクールで録音した。話し合いでは、前時にまとめたワークシートを使用してメモを追加していった。司会はタイマーをタブレットに映し出し、タイムキープをした。話し合いが終わったら録音を提出して簡単に振り返りを行った。

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3. 話し合いの録音をペアで聞く

ロイロノート・スクールでペアで前時に行った話し合いの録音を聞いた。タブレットを2人に1台とイヤホンを2人に1本配布し、男子同士・女子同士で録音を聞いた。気になった点は巻き戻しをして、繰り返し聞く姿も見られた。
録音を聞きながら、具体的にどのような発言をすると良くなるかを考え、ワークシートにメモをした。意見の例として「より説得力を増す発言」、「より伝わりやすく、意見が深まる発言」、「結論を出す際に確認すべき点」を挙げた。同時に、話し合いを前に進めた発言があったかどうかについても考えた。

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4. グループで反省点を話し合う

個人でワークシートにメモをした反省点・良かった発言をもとにグループで話し合った。他の人の意見は、色ペンでワークシートに書き込む。以下は、実際に出た生徒の意見である。

「『定番の競技だから』という意見の根拠で、『全国的にも行われていて楽しいからです。』という内容を言えば、もっと具体的になって説得力が増した。」
「リレーという意見の根拠に、『チームに団結力が生まれる』という根拠を足せば、もっと説得力が増したと思った。」
「『綱引きは(個人の力量の)差が出ないと言ったが、どうしても力の差は出てくるのでは?』という質問は、その後の『作戦によって勝ち負けが決まる部分もある』という意見を引き出し、深めていた。」
「結論をまとめるとき、徒競走は簡単だからという点について、詳しく根拠を確認したほうがみんなも納得して結論を出せた。」

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5. 全体に発表する

話し合いの結論と振り返りで出た反省点を、各グループの司会から全体に発表した。司会以外の生徒は、発表者の方に体を向けて聞くように指示した。

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6. まとめをする

論点になったポイントや全体的に見られた課題などについて、最後に授業者が補足した。

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