実践事例特別支援学級 小学校1年~中学校3年4人以上1台タブレット

学校間交流活動「クラフト体験」

生活単元学習「お気に入りの秋のタペストリーを作ろう」


知多市立佐布里小学校
須澤 理英教諭

ロイロノート・スクールを活用してタペストリーを制作する活動を通して、地域内の異学年児童・生徒の交流を生み出します。

市内の小・中学校特別支援学級では、地域内の異学年児童・生徒が交流する場として、1年に2回「なかよし交流会」という行事を行い、児童・生徒が集まり、関わり合いながら活動する機会を設けています。これまで、本中学校区では保護者も交えて、身の回りの物や季節の植物を利用した工作を行ってきました。しかし、今年度より保護者が参加しないことになったため、視覚的な支援のツールとしてロイロノート・スクールを導入し、児童・生徒が取り組むことができるように指導を進めることにしました。
本活動では、小学生・中学生合同で5・6人の交流グループを作り、グループごとにタブレット1台を利用して行いました。タブレットの操作を中学生に担当させるため、まず、ロイロノート・スクールの基本的な操作説明をしました。その後、タペストリーの材料・作り方・注意事項の説明を、事前に教師が作成した写真カードを配布して、画面を見ながら話を聞くよう指示して説明を行いました。
ロイロノート・スクールで配布した画面を手かがりとして、製作を進めていき、完成した作品をタブレットで撮影して教師に提出させました。提出された画面を配信し、教師が紹介しながら全員の写真を見合う形で「作品発表会」を行い、全体で共有しました。


ロイロノート導入のメリット

  • ロイロノート・スクールが視覚支援のツールとして有効に作用しました。映像を手がかりとすることで、児童・生徒一人ひとりが安心して活動に取り組むことができました。理解する力に課題をもつ児童・生徒にも、製作の工程や注意事項をわかりやすく伝えることができました。自分のペースで必要な時に画面を見返すことができることがとてもよかったです。
  • 中学生に操作を担当させたことで、グループの中に教え合い・助け合いが生まれました。情緒面に課題をもつ児童・生徒もいましたが、全員が最後まで作品を完成させることができたのは大きな成果だと思います。

実践の目標

  • 製作活動に見通しをもって取り組み、自分の力で気に入った作品を完成させる。
  • 活動を通し、異学年児童・生徒の交流を生み出す。

実践の場面

1.【事前準備】インターネット環境を整備する

インターネット環境が整備されていない地域の工房を会場とするため、活動を開始する前に、教師3名の携帯電話を利用しテザリング機能で8台のタブレットをつないで、ネット環境を整備しておく。

2. 基本操作について説明する

小学生・中学生合同で5・6人の交流グループを作り、グループごとにタブレット1台を利用した。タブレットの操作を中学生に担当させるため、ロイロノート・スクールの基本的な操作説明をした。多くの生徒が日常の生活や学習においてタブレットを使用しているため、タップ・スクロールなどの操作はすでに身に付いており、簡単に説明するだけでカードをつなげたり、写真を撮ったりすることができるようになった。ただ、中には、操作に自信がもてない生徒もいたので、交流グループごとに教師1名が付き添い、適宜支援を行うことができる体制を整えた。

3. タペストリーの材料・作り方・注意事項を説明する

タペストリーの材料・作り方・注意事項の説明は、事前に教師が作成した写真カードを各グループのタブレットに配布し、一斉指導の形で進めることにした。
画面を見ながら話を聞くよう指示して説明を行ったところ、多くの児童・生徒が高い関心を示し、身を乗り出して見聞きする姿が見られた。工程順の写真カードをつなげ、作り方を説明したので、すること・手順が明確になり、自分の力で活動に取り組むことができる児童・生徒が増えた。
道具の正しい扱い方について説明した場面では、触ってはいけない箇所に手描きで×の印を入れる見せ方が有効だった。

4. タペストリーを製作する

分からなくなったときや確かめたいことがあったときなどに、ロイロノート・スクールで配布した画面を手かがりとして、製作を進めるよう指示を出した。活発に利用する様子が見られ、教師の助言や支援を減らすことにつながった。
グループの中心としてタブレットを操作する役割を生徒に担わせたことで、活動に対する意欲が高まり、進んで教えたり手伝ったりする主体的な姿が見られた。次の工程に進む前に児童に画面を見せ、説明をする生徒の姿が各所で見られた。優しく声をかけてくれる中学生のお兄さん・お姉さんに支えられ、全員が集中力を途切れさせることなく、時間内に作品を仕上げることができた。

5. 完成したタペストリーを紹介する

作品が完成したグループから、中学生が一人ひとりの写真(本人と作品)を撮影し、つなげた全員分のカードを教師に提出した。
提出された画面を配信し、教師が紹介しながら全員の写真を見合う形で「作品発表会」を行った。児童・生徒は、グループの友達の写真が画面に映し出されると歓声が上がり、自分の写真を見て笑顔になっていた。作品の良さにふれ、友達同士声をかけ合う場面が見られるなど、みんなで作品を完成させる成就感を共有することができたように感じる。