元素名を覚えて、その性質を発表することで、英語のインプットとアウトプットの両方を鍛える授業
元素について英語で学習し、確認の小テストと元素の発表資料作りをロイロノートで実現する。
生徒には事前に最新の元素周期表を配布し、114種類すべての元素名と記号を英語で覚えるように宿題を出している。
毎週15~20種類を選び、小テストをロイロノートで配信し、解答を提出させる。
また、事前に生徒の好きな元素を重ならないように2つずつ選ばせ、その性質などについて調べさせる。生徒はそれらの元素について説明する英文を書き、その内容に関連する画像を検索してカードを複数作る。英文を画像に重ね、それらをつなげて資料とし発表する。
矢澤 和明・桑原 亮教諭
・【小テストのペーパーレス化】
小テストを印刷して実施するのに比べて、印刷や配布・回収・返却の手間は格段に少なくなり、その時間を他の活動に使えるようになった。
生徒も教員もいつでも小テストの結果を振り返ることができ、学習の記録が自動的に残ってゆく。指で文字を書くことに慣れるのに何回か必要だが、次第に見やすく解答を書けるようになっている。
・【小テストのフィードバックと集計】
提出された小テストは、ペン機能を使用して誤りを指摘し、採点した上で個別に返却する。得点を大きめの文字で書き込むことで、組番号順に一覧表示にしたときに、点数を集計しやすくなる。
・【発表資料が簡単に作れる】
インターネットで閲覧しているページや画像をそのままカードにすることができ、それに書き込むこともできるので、発表資料を手軽に作れる。
これまではプレゼンテーションソフトを使っていたが、インターネットの画像をいったん保存してから読み込み大きさを調整しなければならず、レイアウトも複雑なので、発表用のスライドを作るのに何時間も必要で、授業時間中に完成させることは不可能であった。ロイロノートを利用することで、より直観的にカードが作れ、つなぎ方を変えれば順番も変わるので、30分程度で発表に必要十分な資料が作れるようになった。
・15~20個の英語の元素名から対応する記号を選べる。
・元素の記号と原子番号、陽子・電子・中性子の数、同位体について、指導した英文の型に従って表現できる。
・元素の物理的・化学的性質、自然界での存在、産業への応用などについて説明する英文を書ける。
また、説明に必要な画像を検索して選び、英文と組み合わせて資料を作り、発表できる。
1. 元素記号の小テスト
教師は、周期表に名前のある元素114種類の中から、同じ頭文字で始まる元素を毎週15~20種類集めて、元素名から元素記号を選ぶ小テストを事前に作成し、資料箱に入れておく。
その日の小テストをロイロノートで配信し、4分後に締め切り時間を設定する。生徒はペン機能を使ってカードに解答を指で書き込む。
解答を終えた生徒は、カードを提出する。教師は同時間中に回答を添削し返却する。
2. 元素記号のカルタ
周期表の中から主要な元素34種類を選んで、カルタ取りをする。
毎時間異なる生徒を3人ずつグループにして枚数を競うことで、自然と元素の英語名と元素記号が対応するようになってくる。
元素名を読み上げるのは教員でも生徒でもよい。発音の似た元素や記号が似ている元素のカルタを意図的に残すと、お手付きが増えたりして一層盛り上がる。
3. 選んだ元素についてまとめたノート
生徒は事前に自分の好きな元素を2つ選ぶ(他の生徒と重複しないようにさせる)。選んだ元素について、原子番号、陽子・電子・中性子の数、物理的・化学的性質、産業への応用などについて調べ、ノートにまとめておく。日本語だけでなく英語でも調べておくと、資料作りがスムースにできる。
4. 検索した画像に説明文をつけてカードを作る
事前に調べた内容に関する画像をインターネットから検索し、カードを作る。元素記号、原子番号、陽子・電子・中性子の数、同位体については、それらを説明する文の型を教え、生徒は記号や数字を入れ替えて文を完成させる。
調べた元素の構造を示す画像を検索し、作った文を入力してカードを作る。一文が長い場合は、意味の固まりで文を区切り、複数の画像を使う。カードをつなげて発表資料を完成させ、提出する。
5. 互いの発表資料を見て学び合う
互いのタブレット端末を交換したり、ロイロノートの解答共有機能を用いたりすることで、他の生徒が作った資料を見られる。
お互いにコメントしたり、他の生徒の資料を参考にして自分の資料を改善したりしてゆく。各自が調べる元素が重複していないため、それぞれの資料にオリジナリティが出てくるので、自ら進んで資料を良くしようとする意識が働くようである。完成した資料に対しては、教員からのフィードバックも行う。
6. 資料を使って発表する
完成した発表資料を生徒のタブレットに配信して、それぞれの生徒が発表する。慣れない英語による発表でも、画像と関連した説明文が画面に表示されるので、落ち着いて発表できる。
聴衆の生徒にとっても、発音が聞き取れなかったり、単語の意味が分からなくて内容が理解できなかったりすることが減る。
理想的には原稿は資料に書かず、内容も暗記して発表に臨むべきだが、それに向けた最初の段階として考えている。