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「帝国主義とアジアの民族運動」/中国分割の危機

中国分割の危機の単元でのタブレットを使っての授業

タブレットを駆使して列挙の中国進出を理解する。

本時では20世紀初頭の中国を舞台に日米欧の列強が帝国主義を展開し東アジアへと進出していく様子を扱う。
プロローグとしてアヘン戦争・アロー戦争を例に19世紀半ば以降のイギリスの中国進出を簡単にとりあげる。その上で、日清戦争を機に日欧列強の相次ぐ中国進出と清朝の退潮、出遅れてしまったアメリカの対応を見ていくことにする。
地図や有名な風刺画等をタブレットで配信し、当時の清が置かれていた状況をより深く理解する授業とする。



日本大学三島高等学校・中学校
永田 泰大教諭


ロイロノート導入のメリット

・資料をタブレットを通じて配信できるため、資料の印刷が不要となり負担が軽減された。

・紙ベースの資料ではどうしても白黒になってしまうが、タブレットではカラーの状態で資料を提供できる。

・教材をうまく整理しておけば、他クラスでもその教材が使えて非常に便利です。

・資料集は文字情報が多く生徒自身に考察させるには不向きであったが、ロイロノートで例えば特定の図を単体で配信することによって、生徒自身にそこから自由に発想させるようなアクティブラーニング的な要素をもつ授業が可能となった。

・配布した資料がデータとして生徒の手元に残るので、生徒が紛失したり改めて配布し直したりすることがなくなった。



実践の目標

帝国主義の旗印のもと、日本を含む欧米列強が清朝を席巻していく様を生徒に理解させる。
タブレットで 当時の風刺画や地図を配信し、ビジュアル面も意識した授業とすることで生徒がより深い理解を得られるようにしたい。あわせて、現代のグローバル化の本質や日中間の微妙な関係について生徒が関心をもつ一つの契機にしたい。



実践の場面

1. 確認小テストを実施する

授業の冒頭に、ロイロノートを使って事前に配付しておいた確認課題を回収する。本授業はちょうど単元の切れ目で、前回までは主に欧州各国の帝国主義の展開についての授業であった。
そのため、今回の確認課題も、本時の単元とは直接は関係ない「3B政策と3C政策の衝突」となっている。
生徒から回収した課題からいくつかピックアップし、ロイロノートの画面配信機能を使って簡単な解説を行った。



2. イントロダクション

この単元では、中国分割の危機について取り上げる。前回の授業までは主にアフリカを舞台に欧州列強の激突についてみてきた。
19世紀後半から始まったアフリカ分割もほぼ完了したところで、列強の次なるターゲットとなったのが東アジア、とりわけ清である。そこで、日本を含む列強が清に対してどのようなスタンスで接近していったかについて関心をもたせるため、二つの有名な風刺画(『釣り会』by,ビゴー/『ル・ガト ゥ・チノイス(中国分割)』)をロイロノートで配信する。
資料は書き込み式となっており、生徒は国名や人名を手書きで記入する。



3. 板書「日清戦争の影響」

イントロダクションで使用した画像(ここでは『釣り会』)をモニターに映しながら、日清戦争当時の東アジア情勢について説明する。
朝鮮支配の主導権争いから日清戦争に至った経緯、さらに、その後の三国干渉による遼東半島返還までの流れを、日本・清・ロシア・朝鮮の各立場の違いを画像を使って説明しながら授業を進める。



4. 資料(地図:列強の中国進出)の配信

日清戦争以降の中国での列強勢力図を、資料としてロイロノートで配信する。
これまでは白黒の地図を印刷して渡していたが、カラーの資料を配布できるようになり、各国の勢力図が一目瞭然となるので、資料の使い勝手が格段に良くなった。



5. 板書「列強の中国進出」

中国への列強進出の過程を、ロイロノートで配信した地図を参照しながら説明する。その時、画面配信機能を使い、ロイロノートの画面はロックした状態で授業を進めていく。
ロイロノートの資料と合わせて黒板にも大きな地図を描き、必要な個所は随時その図で追加していく。
1898年にドイツが膠州湾を租借したことを号砲に、列強各国が堰を切ったように中国進出に走り、租借という手法の下で清が列強各国の食い物とされていく様子を丁寧に解説していく。



6. 本時のまとめ

本時のまとめとして、中国分割を巡る各国の思惑と進出の経緯について簡単に振り返る。
併せて、その後の義和団事件等、更なる清朝の退潮・動揺の時代という次の単元へのつなぎとする