実践事例高等学校1年日本史1人1台タブレット

論述問題 ~倭の五王と推古朝の外交姿勢の違い~

「考察(史料の読み取り)」、「論述解答」を共有し合う

ロイロノート・スクールで効率的に授業時間を使いながら、史料を読み取る分析力、要点をはずさない論理的思考力を身につけます。

まず、論述問題を与え、グループワークを開始させます。2つの史料の違いに注目して意見を出し合いながら、読み取った内容をホワイトボードに書き出していきます。その後、班の代表者がホワイトボードをタブレットで撮影します。写真はロイロノートで写真カードとして作成し、「考察」のフォルダに提出させます。
教師はいくつかの「考察」をピックアップし、なぜそのような読み取りをしたのかを答えさせます。
生徒は共有した「考察」を参考に、字数制限つき論述問題の解答を作成します。教師は次回の授業までに提出された論述解答を添削しておき、次回の授業の冒頭で添削済みの「論述解答」を共有します。なるべく生徒の投票によって良い解答を決めさせ、教師が作成した模範解答は提示しないようにしました。

駒込中学校・高等学校
依田 愛教諭

ロイロノート導入のメリット

  • グループワークで書き出した読み取り内容や、論述解答をペーパーレスで共有できるようになる点がメリットです。以前は、各班の読み取り内容を共有するため、ホワイトボードを一枚ずつ写真に撮り、紙ベースで生徒へフィードバックしていたのですが、ロイロノートではこれをタブレット上ですますことができるようになり、授業時間を有効に使えるようになりました。
  • 生徒が作成した論述解答を添削・共有する際も、以前は紙ベースで提出させ、添削済み解答をコピーして生徒に渡していたので、こちらもロイロノート・スクールを導入することで、教師の手間が省けました。

実践の目標

  • グループワークにより、資料・史料の読み取り方をつかむことができる。
  • 各班の読み取り内容を参考にすることで、自分が見落としていた部分を補うことができ、より正確な論述解答を作成することができる。

実践の場面

1. 史料を読み取る

論述問題を与え、グループワークを開始させる。生徒は2つの史料の違いに注目して、意見を出し合いながら読み取った内容をホワイトボードに書き出していく。
漠然と史料を読むのではなく、キーワードとなりそうな部分を話し合いながら読み取り、なるべく要点を絞って書き出すように指導しておく。教師は各班の進み具合を見ながらアドバイスする。

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2. ホワイトボードに書き出した内容を撮って提出する

班の代表者は、読み取った内容を書き出したホワイトボードの写真をタブレットで撮る。写真はロイロノートで写真カードとして作成し、「考察」のフォルダに提出する。1回の授業で2問以上扱う場合は、2回目の提出は別の生徒が行うようにした。

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3. 各班の「考察」を比較し、共有する

教師はいくつかの「考察」をピックアップし、なぜそのような読み取りをしたのかを答えさせる。その際は、生徒の名前ではなく、班名を指名する。班名を言われたら誰でも答えられるようにしておく、というルールを設けてあるので、毎回違う生徒が答えるようにしている。その後、教師はロイロノートのお絵かき機能で、「考察」を添削する。授業の最後に各班の「考察」を共有し、全体で確認できるようにしておく。

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4. 「論述解答」を作成・提出する

生徒は共有した「考察」を参考に、字数制限つき論述問題の解答(120字~150字程度)を作成する。自分の班だけでなく、他の班の「考察」を参考にすることで、絶対にはずしてはならない語句は何か、伝わりやすい表現とはどのようなものかを確認できる。また、論旨が通っているかに細心の注意をはらい、字数制限内に収めるということを意識し、各自の解答文を完成させる。

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5. 「論述解答」を添削する

次回の授業までに、教師は提出された論述解答を添削しておく。
解答文の作成にはたっぷり時間をかけられるので、誤字脱字や表現不備などは、厳しく添削するようにした。

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6. 「論述解答」を共有する

次回授業の冒頭で、添削済みの「論述解答」を共有する。
教師が良い「論述解答」を紹介する場合もあるが、なるべく生徒の投票によって良い解答を決めさせ、教師が作成した模範解答は提示しないようにした。

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