実践事例大学1年看護学概論3人1台タブレット

看護学概論(全15回)のまとめ

ジグソー学習法による話し合い、全員がプレゼンターをすることで相互の学び合いができるグループワーク

ロイロノート・スクールを用いることで全員がプレゼンターとなり、役割分担をしない、学ぶためのグループワークを実現します。

授業の前週、学生たちにはA・B・Cの3つの課題を提示しておきます。授業当日は、最初同じ課題をしてきた者同士が3人1組となり、自分の予習してきた課題を報告し合います。全員の発表が終了したら、お互いの報告を聞いて良かったこと、自分たちがプレゼンするときに盛り込みたい内容などを5分程度話し合います。
次に、3人のうち1人がその場に残り、残りの2人は、自分と同じ課題をしてきた他のグループにいき、自分のグループで出た内容を報告し合います。最初の3人のグループに戻り、遠征結果を相互に報告し、ロイロノートを使用してプレゼンテーション資料を作成し、教員へ提出します。
その後、前週に横並びで着席した3人で1組になり、自分のグループで作成したプレゼンテーション資料を用いて、他の課題をしてきた2人に対して5分間でプレゼンを行います。発表が終わったら、相互に意見交換、質疑応答を行います。
各グループから提出されたプレゼンテーション資料は共有できるようにしておき、それぞれの復習に役立てるように促し、翌週、全員がA・B・Cの全ての課題を教員へ提出するようにしました。

新潟青陵大学看護学部看護学科
菅原 真優美准教授

ロイロノート導入のメリット

  • ロイロノートを使うことで、とても動きのある活発なグループワークができました。今までのグループワークだと「発表のためのグループワーク」になってしまっていたのですが、ロイロノートを用いることで、学ぶためのグループワークが実現できました。授業時間内でグループワークを完結できるので学生に与える負担が少なく、話し合いに集中できたと思います。
  • 全員がプレゼンターになるためにロイロノートスクールを使用してみたのですが、3人で話し合い、協力しながら作成した資料のため、発表原稿などがなくても言葉が出され、どの学生も真剣な表情でプレゼンテーションをしていました。また、プレゼンテーション資料を作成する際、教員から何も指示はしていないのですが、一つの項目に対して1枚のカードを用い、そのカードに収まる範囲で必要なことを記入していました。ロイロノートを使用することで自然と思考が整理されているのがわかりました。
  • 教員が作成した資料ではなく、学生が作成した資料を共有できたため、相互の不足を補い合い、学び合うことに影響を与えることができました。授業時間外でも活用でき、学生の復習への意欲を高められたことは大きなメリットだと思います。

実践の目標

  • 自分の課題について十分予習をしてくることができる。
  • 同じ課題をしてきた他の人の取り組みを参考にして自分の考えを深めることができる。
  • 相互に協力して、プレゼンテーションの構成、内容を考え、発表のための準備ができる。
  • グループワークに基づいて自分の課題をプレゼンテーションできる。
  • 自分がしてきた以外の課題について学びを深めることができる。

実践の場面

1. グループワークの前週に課題を提示する

グループワークの前の週に、3人が横並びで着席するよう学籍番号を指示しておく。
授業の最後に、A・B・Cの3つの課題が書かれたプリントを配布し、自分がどれを担当するか3人で相談して決める。
学生は、自分の決めた課題を予習して、翌週のグループワークに備える。
自分が取り組む課題は自分で決めるようにすることで、自分の学習に責任を持たせるように促すことができる。

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2.【グループワーク1】:仲間作りと課題を確認する

グループワークでは課題別に3人1組となって着席する。
最初は、アイスブレイクをして、コミュニケーションを図る。その後、3分程度で自分の予習を順番に発表する。
全員の発表が終了したら、お互いの報告を聞いて良かったこと、自分たちがプレゼンするときに盛り込みたい内容などを5分程度話し合う。
自分の分かっていること、曖昧なことに気付く過程が重要なため、話し合いの中で、「全員がかならず話すこと」、「たくさん話す」ことを意識させるようにした。

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3.【グループワーク2】:他グループの話し合いの結果を確認する

3人のうち1人がその場に残り、残りの2人は、自分と同じ課題をしてきた他のグループに行く。
ワールドカフェ方式といい、A・A’・A” B・B’・B” C・C’・C” というように他グループの中に入り、自分のグループで出た内容を報告し合う。そして、他のグループの発表を聞いた感想を述べ合う。
この際のポイントは、他者から学ぶこと。自分たちが良いと思った内容も他のグループと比較してみると不足していることへの気付きが重要となる。

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4.【グループワーク3】:プレゼンテーションの準備を行う

最初の3人のグループに戻り、遠征結果を相互に報告する。
ここからロイロノートを本格的に使用してプレゼンテーション資料を作成し、教員へ提出する。
プレゼンテーション資料作成の際は、アウトラインの決定が軸となる。3人で協力してアウトラインを定めて、その中に具体例、理由を盛り込むよう促す。
停滞しているグループはアウトラインの決定までに時間がかかるので、それを教員が後押しするようにした。

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5.【グループワーク4】:プレゼンテーションの発表を行う

前週に横並びで着席した3人で(A・B・C)1組になり、自分のグループで作成したプレゼンテーション資料を用いて、他の課題をしてきた2人に対して5分間でプレゼンを実施する。
発表が終わったら、相互に意見交換、質疑応答を行う。プレゼン資料が明確にできていると、発表原稿がなくても、アウトラインにそってこれまで話し合った内容を元に発表が可能となった。

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6. 各グループのプレゼン資料を用いて、自分で復習を行う

各グループから提出されたプレゼンテーション資料は共有できるようにしておき、それぞれの復習に役立てるように促す。
そして翌週、全員がA・B・Cの全ての課題を教員へ提出するようにした。
各グループの資料を共有することによって、他者の作成したプレゼン資料を参考にし、自分の課題に取り組むことができた。また、他者の発表を聞いた後のため、ポイントが絞られた内容となって課題が提出されていた。

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