実践事例短期大学2年言葉指導法Ⅱ1人1台タブレット

子どもの言葉の発達を促すIT機器の活用法を考察・体験しよう

子どもの言葉の発達を促すIT機器の活用法について全員で意見交流し、作品・教材を作る

ロイロノート・スクールを用いて作品製作をし、保育の現場におけるIT機器の活用法を考察・体験する授業を展開します。

子どもの言葉の発達を促すIT機器の活用法を探るため、2コマに渡って実際にIT機器を使って考察・体験していきました。
1コマ目は保育の現場におけるIT機器活用のあり方について、ロイロノートを利用して全員で考察しました。まず、課題1として、「iPadを保育の現場に持ち込んだら、どんなことができるでしょうか?」をスクリーンに示し、学生個人で考えさせ、意見を提出させました。次に課題2「(子ども・保育者)がiPadを持って外に行き、カメラで写真を撮って来るとしたら、どんなテーマにしますか?」を提示し、学生個人で考えさせ、意見を提出させた後、全員分の意見をスクリーンに一覧表示します。これらを参考にして各自が取り上げたいテーマについてまとめさせました。そして課題3「(子ども・保育者)が撮ってきた写真を活用して作品を作る際に、「子どもの言葉の発達を促す」にはどうしたらよいでしょうか?」を提示し、課題2と同様全員分の意見を一覧表示し、各自の工夫についてまとめさせます。
2コマ目は設定したテーマに沿って身近な風物を写真に撮り、撮影した写真を使ってスライドショーの教材・作品を製作します。ロイロノートを活用してスライドショーを製作することを通して、子どもの言葉の発達を促す作品・教材づくりを体験する授業としました。

新潟青陵大学短期大学部幼児教育学科
峰本 義明准教授

ロイロノート導入のメリット

  • 学生の意見をスクリーンに一覧表示させることで、学生同士の意見交流を広範囲に、即座に行うことができました。
    また、一覧表示した学生の意見の中に、教師が事前に想定したこと以上のアイデアを見いだし、それを学生に紹介することで、各自の意見をさらに深めることができました。
  • 撮影した写真を使って簡単にスライドショーを製作し、手描きでイラストを入れたり、スタンプを入れたりすることで、個性的な教材・作品を短時間で製作することができました。
  • タブレットやロイロノートの特長として、直感的に操作を理解することができるので、教師の細かいサポートを必要とせずに、学生が独自に操作を覚えたり、新しい機能を活用したりすることが容易にできました。

実践の目標

  • 保育の現場におけるIT機器の効果的な活用法を見いだすことができる。
  • 身近な風景の写真を撮る際に役立つ分かりやすいテーマを設定し、全員で意見交流して考えを深めることができる。
  • 撮影した写真を活用してスライドショーを製作する際に、子どもの言葉の発達を促すための仕掛けを考え、全員で意見交流して考えを深めることができる。
  • 子どもの言葉の発達を促すのに効果的な作品・教材を製作できる。

実践の場面

【1時間目】

1. 幼児教育の現場におけるIT機器の可能性を探る

授業の最初にタブレットを1人1台ずつ配り、ロイロノートを立ち上げ、基本的な操作の説明をする。
スクリーンに課題1「iPadを保育の現場に持ち込んだら、どんなことができるでしょうか?」を示し、学生個人で考えさせ、意見を提出させる。
提出された全員分の意見をスクリーンに一覧表示し、多い意見や特徴的な意見などを指摘し、その中から「写真を撮る」活動を取り上げ、具体的に考えていくことを伝える。

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2. 写真を撮る際の適切なテーマを考えさせる

スクリーンに課題2「(子ども・保育者)がiPadを持って外に行き、カメラで写真を撮って来るとしたら、どんなテーマにしますか?」を提示し、テーマ例として「小さな夏見つけた」「私の好きな物」などを示して、参考とさせる。
学生個人で考えさせ、意見を提出させた後、全員分の意見をスクリーンに一覧表示し、独自のアイデアに溢れた意見を拾い上げ、紹介する。これらを参考にして各自が取り上げたいテーマについてまとめさせる。

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3. 子どもの言葉の発達を促す教材・作品作りのヒントを得る

スクリーンに課題3「(子ども・保育者)が撮ってきた写真を活用して作品を作る際に、「子どもの言葉の発達を促す」にはどうしたらよいでしょうか?」を提示し、働きかけの例として「これなぁに?」という声掛けをすることなどを紹介する。
学生個人で考えさせ、意見を提出させた後、全員分の意見をスクリーンに一覧表示し、独自のアイデアに溢れた意見を拾い上げ、紹介する。これらを参考にして各自の工夫についてまとめさせる。

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【2時間目】

1. 撮影する写真のテーマを設定する

初めに、これから撮影する写真のテーマについて、以下に示す撮影条件も踏まえて再検討させる。

  • 30分以内で行って撮影して帰ってくる。
  • 撮影範囲は校地内を中心にとする。併設する幼稚園内は撮影禁止。
  • 撮影するものは物・人など自由。人を撮る際は事前に許可を得る。
  • 「子どもの言葉の発達を促す」という視点を忘れない。

以上を説明した後、プリントに設定したテーマを書き込ませる。

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2. 設定したテーマに沿って身近な風物の写真を撮る

タブレットを1人1台ずつ配り、教室に戻って時刻を指定して、各自で自由に撮影してくるよう指示する。
学生はグループや個人で行動し、校舎内や校地内、また隣接する公園や近くの海岸に行って、思い思いの写真を撮影していた。
教員は学生の間を巡回し、声掛けを行った。

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3. 撮影した写真を使って、子どもの言葉の発達を促す教材・作品を製作する

撮影した写真を使ってスライドショーの教材・作品を製作させ、終えた者から提出させる。製作済みの作品をスクリーンに一覧表示し、特長のある作品を紹介する。
学生は、「しりとり」で写真をつなげたもの、「虫の視線になろう」というストーリーのものなどを製作した。
また、スライドショーに音楽をつける方法を発見した学生がおり、他の学生も参考にしていた。製作終了後に、この時間の学びについてふりかえりを記入させた。

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