実践事例高等学校2年1人1台タブレット

音楽
フレックススコアで器楽演奏を楽しもう


京都府立清明高等学校
春野 海講師

ロイロノート・スクールで、自分に適した教材選択や録画による演奏の振り返りを行い、
創意工夫された表現を目指します。

教員は授業前に、生徒が自分の学び方や進度に適した教材を選択できるようにするために、「楽譜」「音楽付楽譜」「演奏動画」の3種類を、それぞれに初級・中級・上級にわけて用意します。これらのフレックススコアをロイロノートの「資料箱」に保存します。
生徒は授業開始後、フレックススコアの中から、自分の学び方に合った教材を見つけて取り組みます。ある程度演奏できるようになったら、ペアになってお互いの演奏を動画撮影します。撮影した動画を送り合い、演奏のよい点と課題をお互いに伝えます。それと同時に、楽曲の特徴を捉え、どのように表現したいのかを明確にし、ワークシートに記入します。課題を克服し、表現意図を実現するため、再びフレックススコアを活用して練習をします。
最後に、納得のいく動画と表現意図が書かれたワークシートを教員へ提出。教員は生徒から送られてきた動画を何度も確認しながら評価を行います。

※フレックススコア=楽譜、音楽付楽譜、演奏動画の総称として春野が命名した造語


ロイロノート導入のメリット

  • 多様なメディア、グレードによる教材を「資料箱」で生徒と共有することで、生徒は自分の学び方や進度に適した教材を選ぶことができます。また、「資料箱」を使うことで紙媒体の無駄がなくなり、後から教材を変更することも容易にできます。
  • 口頭による説明の効率化を図ることにより、支援を必要とする生徒に向き合う時間を確保できます。
  • 自分の演奏を撮影したカードを蓄積できるため、自己の成長過程を振り返ることができます。
  • 生徒は、練習・撮影・振り返りのサイクルの中で試行錯誤し、納得のいく動画を教員に提出することができます。
    また、教員としては何度も動画を見直すことができるので、適切に評価ができます。

実践の目標

  • 楽器の奏法の特徴に関心をもち、それらを生かして演奏する学習に主体的に取り組む。
  • リズムや拍子、構成などを知覚し、それらの働きを感受しながら、楽器の特徴を生かした音楽表現を工夫する。
  • 楽器の奏法の特徴を生かして演奏するために必要な技能を身に付ける。

実践の場面

1. 教材の準備をする

教員は授業の前に、楽譜や音源、動画などの教材の準備を行う。
「楽譜」はFinaleで、「初級」「中級」「上級」の3種類を作成し、PDFに変換する。デモ音源は教員が演奏して録音するか、Logic Proなどのソフトで作成し、MP3にバウンスする。そして、楽譜がデモ音源とともにめくられていくようにiMovieで「音楽付楽譜」を作成する。
その他に、教員の楽器演奏を録画し、「演奏動画」を作成する。
これらのフレックススコアをロイロノートの「資料箱」の中に整理整頓して保存する。

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2. 自分に合ったフレックススコアを選んで練習する

授業が始まったら、まず生徒は「資料箱」にあるフレックススコアの中から教材を取り出す。さまざまな教材を試す中で、自分の学び方に合った教材を見つけて取り組んでいく。
例えば「演奏動画」を使えば、手や指の使い方を動画で確認したり、動画の中の教員と一緒に手を動かして練習することができる。「音楽付楽譜」を使えば、楽譜を見ながら、デモ音源に音を重ねながら練習することができる。

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3. ペアでお互いの演奏を動画撮影する

ある程度演奏できるようになったら、ロイロノートからカメラを起動し、ペアでお互いの演奏を動画撮影する。
撮影した動画を「生徒間通信」の機能を活用して、生徒どうしで送り合う。

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4. 演奏のよい点と課題について話し合う

動画を送り合った後、お互いの動画をじっくりと見て、演奏のよい点と課題を伝え合う。
それと同時に、楽曲の特徴を捉え、どのように表現したいのかを明確にし、ロイロノートのワークシートに記入する。

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5. 動画を提出する

課題を克服し、表現意図を実現するために、再びフレックススコアを活用して練習をする。 練習・撮影・振り返りのサイクルを何度も繰り返す中で表現が創意工夫されていく。
最後に、納得のいく動画と表現意図が書かれたワークシートを教員へ提出する。

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6. 評価を行う

教員は授業後、生徒から提出された動画を何度も見直し、ワークシートを確認しながら、一人ひとりの評価を行う。

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