実践事例高等学校1年1人1台タブレット

物理基礎
自由落下運動


日本大学東北高等学校
芥川 敦教諭

ロイロノート・スクールを活用し、解法を周りと共有しながら問題を解くことで、生徒の理解を深めます。

まず、前回までの授業のポイントを、ロイロノートで作成したカードを用いてクイズ形式で復習します。
その後、ホワイトボードにパワーポイントで作成したスライドを投影し、重要な式などをマーカーで書き込みながら説明します。生徒はロイロノートのカードに書き込みをして、授業ノート(デジタルのノート)をまとめます。自由落下運動の「速度」「変位」「速度の変化と変位」の3式を、等加速度運動の式と条件をもとに考え、カードに書いて教師に提出します。
その後、自分の回答と他の生徒の回答を比較し、他者の考えをもとに自分の考えを修正して再度教師に提出します。そして全員ができるようになることを目標に演習問題に取り組み、生徒は解答したノートを写真に撮って、ロイロノートの提出箱に提出します。類題で確認テストを行い、互いに採点をし合います。振り返りシートを記入し、採点した確認テストを写真に撮り、カードにします。そのカードと振り返りシートをつないで、提出箱に提出します。


ロイロノート導入のメリット

  • 法則や公式を自分たちで導いてカードに書いて提出させることで、式を機械的に暗記するのではなく、成立過程や式の意味を考えさせる授業が展開できるようになりました。思考力や応用力の伸長につながっていると思います。
  • 提出箱を共有することで、自分の考えと人の考えを比較して考えを深める活動が行えるようになりました。また、演習課題の際に提出箱を共有することで、クラス内で誰ができていて、誰ができていないかを生徒全員が分かるようになり、「全員できた!」を目標として教え合うのに非常に役立っています。
  • 授業でやりきれなかった補足の説明や解説を、ロイロノートのカードでタイムリーにできるようになり、授業時間以外の時間を有効に使えるようになりました。また、「OKカード」を送ってもらうことで、生徒の理解度、授業時間以外での学習への取り組み状況が把握できるようになり、教師のやる気UPにもつながっています。

実践の目標

  • 自由落下運動について理解し、考察できるようにする。
  • 「時刻と速度の関係」「時刻と変位の関係」「速度と変位の関係」の式を、等加速度運動の式をもとに考えて導く。
  • 公式を機械的に暗記するのではなく、意味を理解して使えるようにする。
  • 他者の考えと自分の考えを比較し、再考して思考を整理する。また、人に教えることにより理解を深め、自分の考えを分かりやすく人に伝える力を身につける。

実践の場面

1. クイズ形式で復習を行う

導入として、前回までの授業のポイントを、ロイロノートで作成したカードを用いてクイズ形式で復習する。
生徒たちは投影した画面を見て、解答を周りの人と口頭で確認し合う。ロイロノート・スクールのカードを利用することで、短時間でテンポよく復習ができる。また、クイズ形式で行うことで、生徒がスムーズに授業に入ることができ、発言しやすい雰囲気もつくれる。

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2. デジタルノートで理解を深める

ホワイトボードに、パワーポイントで作成したスライドを投影し、重要な式などをマーカーで書き込みながら説明する。スライドをカードにしたものを事前にロイロノートで生徒に配信しておき、生徒はそのカードにタブレット上で書き込みをしてノートを作成する。
黒板や紙では書くことが難しかった図や、カラフルなイラストなどにより、視覚的に分かりやすいノート(デジタルノート)を作ることができた。

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3. 自由落下運動の公式を考える

自由落下運動の「速度」「変位」「速度の変化と変位」の3式を、等加速度運動の式と条件をもとに考え、ロイロノートのカードに書いて教師に提出する。その後、自分の回答と他の人の回答を比較し、再考して再度教師に提出する。
公式を自ら導くことで理解を深め、定着を図り、機械的な暗記から脱却する。

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4. 演習問題に取り組む

行動・態度の目標「話す、質問する、教える、考えを言葉にする、クラスに貢献する」を達成すること、演習問題を全員理解することを目標に、演習問題に取り組む。生徒は、解答したノートを写真に撮ってロイロノートの提出箱に提出する。提出箱は画面に投影して全体で共有してあるので、誰でも見ることができる。これにより教員も生徒たちも、誰ができて、誰ができていないかが一目で分かる。

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5. 確認テストを行い、振り返りシートを記入する

類題で確認テストを行う。周りの生徒と解答用紙を交換し、互いに採点をし合う。正解には大きな花丸をつけ、できたことを褒め合う。
その後、振り返りシートをロイロノートで配信し、生徒は振り返りシートの記入をする。採点した確認テストを写真に撮り、カードにする。そのカードと振り返りシートをつないで、提出箱に提出する。

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6. 授業後、解説カードを送る

授業終了後に、確認テストと振り返りシートをチェックする。理解が浅いと思われるところや、授業で説明しきれなかった点をロイロノートのカードで補足説明する。カードを見て理解できた生徒は「OKカード」を教師に送る。

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