実践事例大学2年1人1台タブレット

異文化理解

歌手Corneilleを通して見る部族間対立


千葉工業大学
大久保 政憲教授

ロイロノート・スクールで動画や資料を提示しながら、部族間対立の現実を身近に追体験する授業を実現します。

数世紀にわたり大した対立もなく、穏やかに共存してきた部族や民族が、何らかの外的な要因によって共存関係を乱され、お互いに反感を抱くに至り、ひいては、残忍な殺しあいにまで突き進む。今日も、このような事態が地球のあちこちで繰り返されています。このような例を、シンガーソングライターのコルネイユを通して、身近に追体験する授業を行いました。
まず、講義要旨を学生各自のタブレットに表示させながら解説をします。そして、コルネイユの 「ぼくらの人生最高のとき」という歌の歌詞の和訳を示しながら解説を行い、歌のビデオクリップを視聴します。コルネイユが主演したケベックのテレビ番組を見て、コルネイユの深い悲しみを知ります。
そして、ジャン・ジャック・ゴルドマンが作詞作曲した「家族」にコルネイユが加わっていることを説明します。「家族」のビデオクリップをみて、コルネイユが他の歌手たちと共に歌っていることを学生達に見せました。最後に、コルネイユの「ぼくらの人生最高のとき」の歌詞について、感想を自由にまとめる課題を提示し、提出させました。


ロイロノート導入のメリット

  • 講義要旨(PowerPointで作成してPDFファイルとして保存)を、ロイロノートの画面配信機能を使って、学生各自のタブレットに表示することができました。こうすれば、スクリーンの表示に比べて遙かに読みやすく、また、学生の集中力を高める効果もあります。
  • 歌の紹介にはYouTubeを使いましたが、ロイロノートのWebカードであらかじめリンクを作成することで、授業の際にはスムーズに画面を表示することが出来ました。
  • 授業の最後に出した課題を提出する際、ロイロノートのテキストカードで書かせ、送信させることで、ペーパーレスで実にスムーズに提出させることができました。

実践の目標

数世紀にわたり大した対立もなく、穏やかに共存してきた部族や民族が、何らかの外的な要因によって共存関係を乱され、お互いに反感を抱くに至り、ひいては、残忍な殺しあいにまで突き進む。このような例を、一人の人物を通して身近に追体験する。

実践の場面

1. 講義要旨を使った解説をする

ルワンダ人の両親のもとにドイツで生まれ、ルワンダで少年期を過ごしたコルネイユ (Corneille, 本名 Cornelius Nyungura)を題材として、部族間対立について講義をする。1994年、17歳の時に大虐殺事件に遭遇し、家族全員を失ったコルネイユの生い立ちを話し、ルワンダの大虐殺とその歴史的背景を説明する。カナダを拠点にシンガー・ソングライターとして成功した彼の半生を、彼の歌や発言などを通してたどるといった講義要旨を、学生各自のタブレットに表示させながら解説をした。

(画像クリックで拡大)

2. コルネイユの歌を紹介する

コルネイユの 「ぼくらの人生最高のとき」という歌の歌詞の和訳を示しながら解説を行う。
次に、YouTubeに掲載されているこの歌のビデオクリップを見せた。

(画像クリックで拡大)

3. コルネイユが主演したケベックのテレビ番組を視聴する

コルネイユが、ルワンダの大虐殺に遭遇し、家族全員を殺された顛末や、その後、ケベックで新しい家族を築いたこと、この家族が、思い出の中の亡き家族と、常に共にあることを語っているケベックのバラエティー番組を視聴する。彼の淡々とした語り口に、悲しみの深さがより強く伝わった。
なお、この部分だけはファイルサイズの都合で、ロイロノートではなく、ブルーレイプレイヤーで再生した。

(画像クリックで拡大)

4. ジャン・ジャック・ゴルドマンとコルネイユの関係を説明する

1951年、フランス生まれのシンガーソングライターで、社会活動家のジャン・ジャック・ゴルドマンについて紹介した。彼は生活困窮者に食事を提供する「心のレストラン」を支援するため、毎年資金集めのコンサートを開催し、多くの人々から支持されている。
彼の作詞・作曲の「家族」という歌を含む14曲が、2012年に若い歌手たちによってカバーされ、大ヒットした。コルネイユもこれに加わっていることを説明した。

(画像クリックで拡大)

5.「家族」という歌を紹介する

この歌の歌詞の和訳を示しながら解説し、次に、YouTubeに掲載されているビデオクリップを見せた。肌の色、身分、階級は様々で、互いに血のつながりもないが、私たちはみんな一つの家族だとこの歌は訴えている。コルネイユも他の歌手たちと共にこの歌を歌っていることを学生達に見せた。

(画像クリックで拡大)

6. 課題を提示し、提出する

講義の最後に、コルネイユの「ぼくらの人生最高のとき」の歌詞について感想を自由にまとめる課題を提示した。
ロイロノートのテキストカードに感想を記入し、送信機能で提出させた。

(画像クリックで拡大)