実践事例専門学校1年1人1台タブレット

ビジネス日本語(非漢字圏留学生対象)

場面に応じたビジネス会話の作成と再生


ECC国際外語専門学校
川岡 ちはる講師

ロイロノート・スクールを活用して、「使えるビジネス日本語」を身につけます。

全員にロール・カードを配布します。学生は3~4人のグループに分かれ、場面に応じたビジネス会話を作成し、ホワイトボードに書き出します。語彙使用や文法、表記の誤りの箇所を教師が指摘し、学生は指摘箇所について再度考え、訂正を重ねていきます。
仕上がった会話はグループごとに写真に撮り、教師に提出します。そして、役割を決めて会話を再生します。グループで日本語のアクセントや、イントネーション、表情、立ち居振る舞いなども含めて、自然な会話の再生に向けて練習します。ホワイトボードを見ないで会話が再生できるまで練習を重ねます。会話再生の仕上げとして動画を撮影し、3分以内の作品として仕上げます。グループごとに制作した作品をクラス全員で鑑賞します。表情、立ち居振る舞い、全体の流れなどについて、良かったところ、もっと工夫が必要なところなど意見を出し合います。学生が見落とした点については、教師が補足説明をします。音声情報に重点を置きたい場合は、会話の流れに沿った写真を何枚か撮り、写真に音声情報を加え、スライドショーで鑑賞します。母音、子音、拍、アクセントの正確性をチェックし、文末イントネーション、話すスピード、間合い、相槌の仕方などの効果について確認します。


ロイロノート導入のメリット

  • 音声指導への利用としてロイロノートが役立ちました。文字カードに音声教材のテキスト情報を入力し、色ペンで正しいアクセント・ラインを加えたものを配布し、学生はそのカードに自分の音声を録音して提出。別の色ペンで学習者のアクセント・ラインを上書きし、返却しています。
    学生は自分の発話を視覚的に確認でき、「正確に発話しているつもり」の学生にとって、弱点の把握に大いに役立っています。
  • 録音、録画を何度でもやり直せるので、学生は提出期限のぎりぎりまで自発的に練習を重ね、一番仕上がりが良いものを提出することができます。
    従来のような「本番一回が勝負の発音テスト」と比べると、取り組みが丁寧に行えます。

実践の目標

  • 人間関係を含めた場面の理解ができる。
  • 聞き手の心理を考慮した上で、ビジネスシーンに適した語彙や表現、イントネーションの選択ができるようになる。
  • 立ち居振る舞いや表情など、日本文化における非言語情報を理解し、使えるようになる。
  • 相槌やクッション言葉などにも注意を払い、円滑なコミュニケーションへの配慮ができるようになる。

実践の場面

1. ロール・カードに書かれた場面を理解する

配布されたロール・カードを読み、場面を理解する。
ロール・カードの内容は、1週間の学習内容に沿ったもので、カード内には会話作成のヒントを<使用語彙・表現>として提示されている。学生は3~4人のグループに分かれ、互いに理解内容について意見交換し、共通認識を得る。

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2. 場面に応じたビジネス会話を作成する

グループごとに、場面に応じたビジネス会話をホワイトボードに書き出す。その際、文法や発音、表記のチェックをグループ内で行う。それでも残った誤用は教師がその箇所に下線を引いて指摘する。学生は再考と訂正を重ね、会話を仕上げていく。仕上がった会話は写真に撮り、教師に提出する。

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3. 会話再生のための練習をする

ホワイトボードを見ながら役割を決め、会話を再生する。
その際、グループメンバーは互いに協力しながらアクセントやイントネーションをチェックして、意見を出し合う。他にも、表情や立ち居振る舞い、会話の間合いなどにも注意を向けながら、ホワイトボードを見ないで会話が再生できるまで練習を重ねる。

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4. 会話を再生し、動画を撮影する

ホワイトボードを見ないで会話が再生できるようになったら、動画で記録する。撮影場所、小道具、文字情報の追加、カット割りなども含め、グループごとに工夫をして3分以内の作品として仕上げる。場面に合った表情、立ち居振る舞いなどの非言語情報も考慮しながら行う。

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5. 動画を鑑賞、フィードバックを行う

グループごとに制作した3分以内の作品をクラス全員で鑑賞する。表情、立ち居振る舞い、全体の流れなどについて、良かったところ、もっと工夫が必要なところなど意見を出し合う。
学生が見落とした点については、教師が補足説明をする。

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6. 写真と音声による作品を鑑賞し、フィードバックを行う

音声情報に重点を置きたい場合は、動画撮影ではなく、会話の流れに沿った写真を何枚か撮り、写真に音声情報を加え、スライドショーで鑑賞する。母音、子音、拍、アクセントの正確性をチェックし、文末イントネーション、話すスピード、間合い、相槌の仕方などの効果について確認する。