実践事例中学校2年2人1台タブレット

国語

声に出して味わう「平家物語」


お茶の水女子大学附属中学校
渡辺 光輝教諭

ロイロノート・スクールの録音機能を活用して何度も音読を聴き、音読の録音にチャレンジして、古典作品を読み味わう授業を展開します。

「平家物語」の「扇の的」と「敦盛の最期」の場面を、グループで音読を練習して録音する活動を行います。まずロイロノート・スクールで作成した簡単な〇×問題を提示し、前時の活動内容を振り返りました。
次に、教師が事前に準備した「敦盛の最期」の模範音読を全体で聴きながら、読み方や音読する時に注意するポイントを確認しました。そしてグループで文章を下読みして、各場面をどのように表現したいのかイメージをまとめて話し合い、場面のタイトルを考えました。そのイメージに合うように、グループで分担を考えて音読で表現できるように練習しました。
そしてグループのメンバーで分担して音読したものを、ロイロノート・スクールを用いて録音しました。自分たちのグループの録音を聴き合って確認し、イメージ通りに伝えられているのか、音読を聴いて振り返り、上手くいかなかったと感じた場合は再度録音にチャレンジしました。
最後に、録音データを教師に提出したところで授業は終了です。次回の授業ではお互いに聴き合い、他のグループの音読からも学んでいき、作品の読みをさらに深めていきました。


ロイロノート導入のメリット

  • 教師の録音データを個人のタブレットに配布することで、何度もモデルとなる音読を聞き返すことができるため、自分の音読の参考にすることができました。
  • レコーディングにチャレンジするというプレッシャーが、音読学習の動機づけになりました。また、人前で大きな声で音読することに抵抗感のある生徒も、意欲的に取り組むことができました。
  • 失敗したら何度でも撮り直してチャレンジすることで、古文の文体に自然に親しむことができました。
  • 自分の音読を聴いたり、お互いの音読を聴いたりすることで、音読の表現を磨き合うことができました。

実践の目標

  • 平家物語の文章を朗読して、その独特の調子やリズムに慣れ、作品を読み味わう。

実践の場面

1. 〇×クイズで前時の振り返りを行う

前時の学習内容を、ロイロノート・スクールで作成した〇×クイズで振り返る。ごく簡単な問題にテンポよく取り組むことで、学習内容を想起させ、授業への導入をスムーズに進めることができた。

2. 教師の模範音読を聴く

事前に準備しておいた「敦盛の最期」の教師の音読を全体で聴きながら、読み方を確認する。この時、一人ひとりのロイロノート・スクールにも同じ音読データを配布しておく。
録音データには、生徒が音読を聴きながら自然と目に入るように、音読する文章とともに、音読するときに注意するポイント(歴史的仮名遣い、係り結びなど)や、補足説明が書いてある。

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3. 場面のイメージを表すタイトルを考える

各グループで、この場面をどのように表現したいかイメージをまとめ、それをタイトルにする。例えば「〇〇い物語」「〇〇な物語」のように形容詞、形容動詞で表現するように勧めた。(例「力強くたくましい物語」など。)グループによっては、音読で表現してからタイトルを考えたところもある。

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4. 音読練習をする

2人に1台のタブレットに教師の録音データを配信しておき、それを何度も聞きながら、音読練習をする。間違いやすいところなどにメモを書き込むなど、工夫する生徒もいた。

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5. グループで録音する

グループ内で分担して音読したものを、ロイロノート・スクールを用いて録音する。「平家物語」の文体は難しいので、なかなかすらすらと読むことは難しいが、音読に失敗したら撮り直しができるため、何度もチャレンジすることで古文の文体に読み慣れていった。また、タブレットのマイクに近づいて録音することがコツである。

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6. グループで録音した音読を聴いて振り返る

自分たちのグループで録音した音読を聴き合って確認する。
自分がイメージした通りに他の人にも伝えられているのか、音読を聴いて振り返り、うまくいかなかったと感じた場合は再度録音にチャレンジした。次回の授業では他のグループの録音をお互いに聴き合い、他のグループの音読からも学んでいき、作品の読みをさらに深めていくことができた。

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