実践事例高等学校1年1人1台タブレット

日本史

定期考査対策!「幕末~明治初期」で作問せよ!


東京都市大学 等々力中学校・高等学校
鹿又 裕毅教諭

ロイロノート・スクールで試験問題を作成することで、出題者の視点に立ち、実際の試験に役立てることができます。

生徒に指示することはとても簡単です。問題作成の範囲を決めて、ロイロノート・スクールのカードを使って生徒に問題を作成させるだけです。問題作成に取りかかる際、まずは出題範囲内のどこから出題するかをそれぞれが決めます。問いを考えた後は、選択肢の文章を考えます。誤っている文章を考えるのに苦労することに生徒は気づきます。自分の問題を自分で解かせて、作成した問題を確認します。
その後、提出箱に提出させて共有することで、自分が作った問題以外も解くことができ、試験前に様々な問題に触れることができます。完全に自由に問題作成をさせても良いのですが、幾つかの条件を課してあげることで、生徒は考えながら問題を作るようになります。この「考える」ところがこの授業の最大のポイントです。出題者の視点に立ってみることで、実際にテストに臨んだ時に、誤文を見つけやすくなったり、問題の意図を読み取りやすくなります。


ロイロノート導入のメリット

  • 今までは紙に書いて集めて、全員分印刷することでしか「共有」ができなかったため、授業時間内に「作問」「提出」「共有」をすることはほぼ不可能でした。ロイロノート・スクールを用いることで、ペーパーレス化でき、かつ瞬時に「提出」と「共有」が簡単にできることが最大のメリットです。
  • 作問課題は、担当教師が授業できない場合の「代講課題」としても可能です。学外から生徒に直接指示カードを送れば、代講に入る教師に細かく指示を出さなくても、生徒は自然と課題に取り組むことができます。

実践の目標

  • 自ら問題を作成することで、「どこに誤りがあるのか」、「出題のポイントは?」など、より出題者に近い視点で問題を解くことができるようになる。
  • 作成した問題を提出箱で共有して相互に解き合うことで、教科に関する議論が活発化し、関心を持つことができる。

実践の場面

1. 作問に関する指示をカードで送る

教師側から「Mission」と題して、作問に関する指示をまとめたカードを生徒に送る。
今回の指示は以下の3つ。

1.4択問題であること
2.選択肢は単語でなく、文章であること
3.選択肢は①~④

また、出題範囲を指定すること、最後に正答の番号の書いたカードをつけることもあわせて指示してカードで送る。

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2. 問題を作成にとりかかる

まずは出題範囲内のどこから出題するかをそれぞれが決める。教師は巡回をしながらアドバイスをしていく。「正しいものを選ぶのか」、「誤っているものを選ぶのか」、「年代が違うものを選ぶのか」、「原因や背景を考えるのか」など、問題の切り口は様々。まずはそこに気付かせる。

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3. 選択肢の文章を考える

生徒はここが意外と時間がかかることに気付く。正しい文章を考えるのは簡単だが、誤っている文章を考えるのに苦労する。どんな点に誤りを作るかで、問題の印象が大きく変わるため、こうした点に気付けるようなアドバイスをしていった。

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4. 作成した問題を確認する

作問がほぼ完了した生徒は、もう一度自分の問題を自分で解かせて、それぞれの文章が本当に正しいか、誤っているかを確認させる。そして、最後に正答の番号の書いたカードを1枚付け加えることを指示する。まだ作問が終わっていない生徒には作問を継続するように促す。

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5. 作成した問題を提出する

完成した問題および解答のカードをつなげて提出箱に提出させる。提出が終わった生徒は、他の生徒の問題を開いて解いてみる。
クラスによってはここで盛り上がる。特に、何もヒントを与えていないのに「史料文」を用いて作問した生徒や、図や写真などを用いて作問した生徒がいると、なお盛り上がる。教師はこの盛り上がりを上手く向上心や好奇心につなげられるようにコメントをする。

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6. 出題者の視点に立つ意味について考える

最後の3~5分を使って、この取り組みのまとめをする。実際に問題を作成してみたことで、どんな点に気付いたか、これから問題を解く時にどういう解き方をしていきたいか、生徒の側から意見があがると良い。時間内に他の生徒の問題を全て見ることはできないので、授業後の復習の際に、より多くの問題を解いてみることを勧めた。

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