実践事例高等学校1年1人1台タブレット

世界史 B

ヨーロッパの主権国家
~外交官として18世紀の国際会議に出席して自国を紹介しよう~


松蔭中学校・高等学校
古澤 美穂教諭

ロイロノート・スクールを活用して、調べ学習とロールプレイ活動を行い、単元の学習内容が定着する授業を展開します。

「16世紀以降に登場するヨーロッパの7つの主権国家の外交官が国際会議に出席して自国を紹介する」という場面を想定し、「会議の準備」をします。まず、4~5人の7グループに分かれ、スペイン・オランダ・イギリス・フランス・プロイセン・オーストリア・ロシアの7か国がそれぞれ割り当てられます。グループ内で進行係、書記係、計時係、発表係の4つの役割を決定します。
次に、教師から送られた「調べる内容」カードを全員で確認します。16~18世紀の自国における指導者(君主など)、政体、産業について調べる課題を出し、教科書や授業プリント、ロイロノート・スクールのWeb検索などを使い、グループ内で協力して調べます。進行係を中心に話し合い、書記を中心に作成したカード類をつなげてスライドショーを作成し、提出箱に提出します。発表者は「国際会議」でどのように発言するかシミュレーションしておきます。そして、各グループの発表者が「国際会議」に出席する「外交官」として、自国を紹介するようにロールプレイ形式で発表します。
調べ学習やロールプレイ活動を通して、各国の特色を振り返り、16世紀以降に成立したヨーロッパの主権国家体制が現代の国家の基礎となったことや、国際会議という概念が生まれたことなどを復習しました。


ロイロノート導入のメリット

  • 講義形式の授業では受動的だった生徒が、自身で調べ学習をすることにより、能動的になりました。
  • わからないことを周囲の生徒同士で共有し、話し合うことで理解を深めることができました。
    また、授業で学習したことと、調べる内容がリンクしていることに気づき、これまでの復習ができていたように感じます。

実践の目標

  • ヨーロッパの主権国家体制について、調べ学習を通じて復習する。
  • 講義形式の授業では受動的になりがちだが、協同での調べ学習を行うことにより、興味・関心を持たせる。グループ内で疑問点を共有し、話し合うことで理解を深める。
  • 授業で学習してきたことと、調べる内容をうまく結びつけることで、これまでの学習内容の復習に努める。

実践の場面

1. グループ内で役割分担を決定する

4~5人の7グループに分かれ、割り当てられた主権国家を確認する。割り当ては、A:スペイン、B:オランダ、C:イギリス、D:フランス、E:プロイセン、F:オーストリア、G:ロシアの7か国。次に、グループ内で話し合い、進行係、書記係、計時係、発表係の4つの役割を決定する。発表係は「外交官」として「国際会議」で発言することを周知しておく。

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2. 調べる内容を確認する

教師から送られた「調べる内容」カードを全員で確認する。調べる内容は、以下の5つである。

① 16~18世紀の自国を地図上で示す。(教科書の地図をデータ化したカードを活用する)
② 自国の政体を調べる。
③ 16~18世紀において自国を繁栄に導いた指導者(君主など)を1名取り上げて調べる。
④ 16~18世紀の自国の産業などを調べる。
⑤ 他国に対してアピールしたい事柄を調べる。

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3. 国際会議の準備①(調べ学習)

教科書や授業プリント、ロイロノート・スクールのWebカードを用いて、割り当てられた国家について調べた。進行係を中心に話し合い、書記を中心にロイロノート・スクールのカードを作成した。君主などの指導者については画像カードを作成する。

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4. 国際会議の準備②(カード作成)

書記を中心に作成したカード類をつなげてスライドショーにして、提出箱に提出する。発表者は、「国際会議」でどのように発言するかシミュレーションしておく。

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5. 国際会議に出席(発表)

各グループの発表者が「各国の代表(外交官)」として、教室前方に設けられた座席に集合し、資料の提出順に発言する。
前方のホワイトボードに各グループのスライドを投影しながら、「外交官」として自国を紹介するように、ロールプレイ形式で発表する。

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6. 授業の振り返り

各国の特色を振り返り、16世紀以降ヨーロッパに成立した主権国家体制が現代の国家の基礎となったことや、国際会議という概念が生まれたことなどを確認する。

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