実践事例高等学校2年1人1台タブレット

日本史B

日露戦争の講和条約 ポーツマス条約


松蔭中学校・高等学校
澤田 知之教諭

ロイロノート・スクールで実際の史料を読むことで歴史をより具体的に理解し、疑問を持ち、学びが深まる授業を展開します。

日露戦争の講和条約、ポーツマス条約、その後の日比谷焼き討ち事件に至る内容を学習した上で本授業を行います。ポーツマス条約に関する国内新聞の記事を生徒に示し、その記事から当時の国内マスメディアの講和条約に対する反応を理解させます。まず個人で新聞記事を読み込んだ後、そこからわかることについて4~5名のグループで意見を交わします。グループごとの発表に向けて、発表用のカードをロイロノート・スクールで作成し、提出箱へ提出させました。
授業時間の関係により2コマ目に続き、2コマ目の授業の始めにグループ内での意見交換の結果を発表しました。他グループが読んだ記事の内容を理解し、自分が読んだ記事との違いや共通点を知ることができました。発表後、授業の感想をワークシートに記入させ、ロイロノート・スクールで写真を撮影してカード化し、提出させました。まとめとして、今回の授業を通して理解してもらいたかったことを改めて説明しました。


ロイロノート導入のメリット

  • 各生徒に史料を瞬時に配信することができます。また、今回配信した資料が新聞記事ということもあり、文字が非常に小さく、また、不鮮明な部分もあったことから、判読のために史料を拡大できる点は非常に有効でした。
  • 発表用カードを短時間に簡単に作ることができました。また、実際の発表の際の操作も簡単で、生徒はすぐに使いこなせていました。

実践の目標

  • 日比谷焼き討ち事件に代表されるポーツマス条約に対する否定的な反応を、当時の新聞記事を読むことで、具体的に理解することができる。
  • すべての新聞が完全に否定的であった訳ではないことに気付き、新聞社により論調に差があることを理解する。また、それは現代のマスメディアについても同様であることを理解することができる。
  • 歴史を学ぶ際の基本である、「史料に基づいた研究」に触れ、その意義を理解することができる。

実践の場面

1. ねらい、具体的な取り組み内容を理解する

授業プリント(ワークシート)を生徒に配布し、今回・次回の授業のねらいと具体的な取り組みについて理解させる。また、プリントには今回取り上げるポーツマス条約の締結前後の詳細な日程を掲載し、説明した。これにより、この後に読む新聞記事がどのタイミングの報道であるか明確にした。

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2. 新聞記事のカードを配信し、個人で読みこむ

今回は9班に分けての活動なので、8社9種類の新聞記事を用意した。新聞記事をそれぞれに配信し、生徒は自分の班の担当の記事をまず個人で読み込む。約100年前の新聞は言い回しが難しいが、細かい事にとらわれずに大意をつかむことを意識させた。

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3. グループをつくって意見を交換する

個人で読みこんだ史料について、グループ(4~5名)をつくり、意見を交換する。具体的に各グループに求めたアウトプットは、史料の要約、印象的な言葉・表現の抽出とそこから推測できること、新聞社の主張、記事を読んでの感想。これらについての意見交換を行った。

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4. 発表用カードを作成する

グループ内での意見交換の後、次回授業でのグループごとの発表に向けて、発表用のカードをロイロノート・スクールで作成し、提出箱へ提出した。発表用カードのイメージがつかみにくい班のために、カードの例を各生徒に配信した。感想の中で、当時の新聞に対する言論統制に関する疑問や、戦争継続を望む新聞の主張に対して当時の日本に戦争継続をする力が残っていたのかという疑問も提示され、さらにテーマが深まる授業となった。

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5. グループごとに発表を行う

2コマ目の授業の始めに、グループ内での意見交換の結果を発表する。各グループが異なる新聞記事を読んでいるため、発表により、他グループが読んだ記事の内容を理解し、自分が読んだ記事との違いや共通点を知る。

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6. 授業の感想を提出する

授業の感想をワークシートに記入させ、ロイロノート・スクールで写真を撮影してカード化し、提出させた。
まとめとして、今回の授業を通して理解してもらいたかったことを改めて説明した。新聞社によって、論調に違いがあったこと、今回の様に実際の史料にもとづいて、教科書に書かれている歴史は明らかにされてきたものであることを解説した。また、発表の中で提示された疑問についても解説を加えた。

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