実践事例高等学校1年1人1台タブレット

国語総合古典(古文)

説話(仏教説話)を読む


成立学園中学・高等学校
小宮 賢教諭

ロイロノート・スクールを活用することで、退屈なことはしない、させない、楽しく学ぶことができる、満足度100%の古文授業を展開します。

「活きてる頭を、死んだ講義で封じ込めちや、助からない。外へ出て風を入れるさ。」(夏目漱石・『三四郎』)

鴨長明『発心集』を使って、「古文は読める」を実感させます。授業後には「古文をもっと読みたい」と思わずにはいられなくなる授業内容を展開します。要約する力、抽象する力、自分の考えを他者に伝える力も身につけさせるため、平均学習定着率5%の受動的な講義ではなく、平均学習定着率90%の「他者に学んだことを教える」授業を実現し、解き方が分かるではなく、読み方が分かる、を目指します。
まず、前回の授業の振り返りをし、演習に取り組みます。演習の最初の10分は、「相談・調べる」ことは禁止して全文を読み、筆者が言いたいことは何かを生徒自身が気づけるようにざっと説明します。次の10分では、筆者が言いたいことは何か?、前回扱った文章『沙石集』との共通点は何か?について教え合ったり、調べたりしました。生徒に正解を発表させた後、黒板を使って教師が説明をします。
その後、本時の学習を確認してペア読みを行います。最後に春期講習6日間のまとめとして、これまでの授業の振り返りをロイロノート・スクールのカードに記入し、提出させました。


ロイロノート導入のメリット

  • 授業中に生徒の回答を見て、その場ですぐにコメントできる点と、生徒の回答を全体に共有することによって、生徒が他の生徒の考えを知ることができる点がメリットです。
  • 授業後、いつでも提出、返却ができます(早朝、夜中でもOK)。また、生徒が締め切りまでに提出したかどうかが分かり、課題未提出の生徒もすぐ分かります。
  • 生徒に見せたい画像など、ロイロノート・スクールを使えば簡単に見せることができ、授業で使用する紙(プリント)の量が減りました。そして何よりも、生徒も教師も授業が楽しくなりました。

実践の目標

  • 段落の意味に気づく。
  • 筆者の言いたいことが分かる。
  • 前回扱った文章『沙石集』と今回扱う文章『発心集』の共通点に気づく。
  • 指示語っぽくない言葉も指示語として読んでみる。
  • 「時」を表す言葉を読み取ることができる。
  • 上記の項目について、「他者」に分かりやすく説明することができる。

実践の場面

1. 本を紹介する(井上ひさし・『私家版日本語文法』)

『私家版日本語文法』を使って形容詞の活用について考え、発表させる。
授業の冒頭には毎回、本の紹介をしている。紹介したい本の画像をロイロノート・スクールで配信する。教師はおすすめする理由を説明する。生徒は本に興味を持ち、主体的に読むようになる。

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2. 前回扱った『沙石集』の振り返りを行う

ロイロノート・スクールで提出させた答えを画面配信して、前時の振り返りをする。筆者が言いたいことは何か?、言いたいことはどうやって伝えるか?、段落の働きは?、など前回の授業内容を自分で思い出せるような発問をする。その後、回答一覧画面を「回答共有」して、「他者」の答えを見させることで、生徒には新たな気づきが生まれる。

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3. 音読をして演習に取り組む

演習の最初の10分は、「相談・調べる」ことは禁止して全文を読み、筆者が言いたいことは何かを生徒自身が気づけるように、ざっと説明をする。文中に出てくる「橘」の画像などを配信したりする。
この時、古文のままで分からせるため、現代語訳をせず、全文現代語訳のプリントも配布しない。次の10分では、「教え合い・調べる」ことを許可した。全11問正解することを目標にし、筆者が言いたいことは何か?、昨日の文章『沙石集』との共通点は何か?について教え合ったり、調べたりした。
ロイロノート・スクールを使うことにより、生徒がその日の授業、その講習会に満足したがどうかが、よくわかる。

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4. 生徒に答えを発表させる

正解を発表する。生徒には解答用紙も配布しており、設問は全て選択式なので自己採点させる。全問正解は1名だった(生徒数27名)が、20名ほどが1問のみ間違いという結果だった。
筆者が言いたいことは何か?、昨日の文章『沙石集』との共通点は何かについて生徒に発表させる。発表後、黒板を使って教師が説明をする。黒板をノートに写す必要がないよう、板書を写真に撮り、授業後生徒に送信した。ノートには板書ではなく、自分の気づきなどを書くよう指示した。

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5. 本時の学習を確認し、ペア読みを行う

ロイロノート・スクールの画面配信で、昨日と今日の文章(『沙石集』・『発心集』)の出典について説明する。その後、黒板を使って指示語と時を表すことばについて説明する。各設問については特に説明はしない。誤りの選択肢の間違い部分などの説明もしない。
「説明してほしい」という生徒の声があれば、説明はするが、そのような要望はなかった。最後に「ペア読み」を行う。内容を理解した後なので「音読」が軽やかになっているのを感じた。

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6. 6日間の振り返りを記入する

春期講習では、現代文と古文を3日ずつ学習した。最終日なので、6日間の振り返りをロイロノート・スクールのカードに記入させた。極小サイズの文字を使い、字数は200字以上。授業時間が残り10分ほどだったため、授業時間内で書けなかった生徒は宿題とした。
提出された回答については、教師が読み、コメントをつけてその日のうちに返却した。

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