実践事例高等学校1年1人1台タブレット

数学

確率、平面幾何、式と証明など


日本大学東北高等学校
佐藤 秀憲教諭・鹿野 雄大教諭

ロイロノート・スクールで等式を証明する解説動画を作成してシェアすることで、人に伝える力を身につけ、問題に対して理解を深めることができます。

1つ上の学年の生徒に、数学Ⅱ「式と証明」の条件付きの等式を証明する解説動画を作ってもらい、それを授業前日に配布して生徒達に予習してもらいます。本時では、それに関連した問題を深めた後、演習やアクティブラーニングなどを通して理解を深めていきます。生徒の理解を深めるには様々な方法がありますが、その中でも「誰かに伝える」という事をポイントに、ロイロノート・スクールを活用しました。
まず、教科傍用問題集をグループで分担して解き、一分程度の解説動画を作成していきます。次に、受験した模試の解説動画を作成します。問題の復習を兼ねるとともに、人に説明することを通して内容を深めていきました。その後、生徒に共有した解説動画を利用しながら問題を解いたり、動画で分からない部分がある場合は周りの生徒に聞いたりして、理解を深めていきました
ある問題を出したとき、ある生徒がアプローチの仕方を発見し、しばらく悩んでいた他の生徒が、アプローチを発見した生徒のヒントをもとに問題を解決したところ、クラス全体にアイディアが共有され、全体の理解度が高まったという出来事がありました。アイディアの共有がしやすいというロイロノート・スクールの利点を活用した授業を行うことができました。


ロイロノート導入のメリット

  • よく出来ている生徒のノートや考え方を皆でシェアすることで、教師の説明する時間が短縮され、その分、類題を演習したり、考え方を深めたりできる時間が確保できました。
  • 解説動画を作成したことでプレゼン能力や説明する力が身につき、数学のみならず、他の授業でも「相手に伝わるように説明する」といった工夫が見られました。

実践の目標

解説動画の作成を通して、人に分かりやすく説明する力を身につけ、問題の理解を深めることができる。

実践の場面

1. 先輩による解説動画で予習をする

1つ上の学年の生徒に、数学Ⅱ「式と証明」の条件付きの等式を証明する解説動画を2分以内で作ってもらった。それを授業前日に配布して、予習をしてもらう。
教える側の生徒は、制限時間内でどこがポイントかを考えて解説しなければいけない事と、式変形も素早く行わなければならないため、教える先輩と授業を受ける後輩の双方にとって、プラスになる関係を築くことができた。

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2. 問題集の問題を解き、解説をする

教科傍用問題集をグループで分担して解き、解説動画を作成する。クラス間でも担当する問題を指定し、最後に全クラスでつなぎ合わせることで、単元すべての解説動画が出来上がる。自分だけではなく、同じクラスの生徒や、隣のクラスの生徒と解説をシェアすることで、責任感や自己肯定感などを育めた。

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3. 解いた問題に解説をつける①

解説動画を作成する際の目標は「1人1動画」とし、約一分程度の動画を作成することを条件とした。模範解答の紙面では表れない、行間を補う作業がメインとなる。

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4. 解いた問題に解説をつける②

動画の容量を少なくするため、この時間は「自分の解答を写真で撮り、それに自分の音声をつけたもの」を作成させた。身振り手振りなどの動きは動画には入らないが、ほとんどの生徒は数式を説明する際に写真のように手やペンを動かして説明していた。こういったノンバーバル(非言語)な部分も、抽象的な内容を理解するうえで欠かせないのかもしれない。

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5. 解いた問題に解説をつける③

受験した模試の解説動画を作成する。模試の復習を兼ねるとともに、人に説明することを通して、内容を深めることができた。
動画の右下に、この問題を解くポイントを生徒が書き込むことで、伝える方も見る方も、どこに主眼を置いて問題を解けばいいのかが分かるようにした。

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6. 共有した動画を利用して問題を解く

解説動画を作成した後、動画をまとめて、生徒に配布する。
解説動画を利用しながら問題集の問題を解く生徒や、その動画のわからない部分を周りの生徒に聞いたりして理解を深めた。

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