実践事例大学3年フードサービス論1人1台タブレット

一斉講義で聞くだけの受け身ではなく、自分で考え、学ぶことを意識する

スマホを活用したICTツール導入により、大人数講義でも双方向性のある環境を

大人数講義でロイロノートを活用することで、双方向の授業ができるため、学生の学習意欲が向上します。

大学の一斉講義において、資料配付の効率化を図るため、学生のスマホを活用してロイロノートを導入しました。
資料の一斉配信による作業時間の短縮に加え、授業の進行に合わせた資料提示が可能となり、これまでの知識伝達型の授業から、学生の考えや意見によって授業を作っていく、双方向授業の展開の可能性が開けました。また、学生に自分の意見について発表をしてもらい、大人数講義で学生が参加する双方向の授業を行ことができました。
授業中に、「この問題に対して、あなたはどう考えるのか」ということを、学生はロイロノートのカードに意見を書き、教師に送信します。送信してもらった意見は、一覧で画面に表示し、学生にそれぞれの意見を比較してもらいます。そして、学生が提出したカードに添削をし、そのカードを学生個々に返信します。
また、授業の最後に前回の課題を提出したかどうか確認をします。提出したかどうかは教師の画面で一覧表示されるため、確認作業が大幅な時間短縮となりました。
ロイロノートを使うことで、大人数講義であっても学生が授業に参加できる機会を提供できるようになり、学生の学習意欲も向上しました。

日本大学生物資源科学部
食品ビジネス学科
久保田 裕美助教

ロイロノート導入のメリット

  • 資料準備と配布・回収にかかる時間の節約:これまでの講義では、受講者が150名以上ということもあり、資料印刷と配布にかかる時間と労力は膨大でした。さらに、フィードバック用紙を授業時に回収する際、多くの時間を費やしていました。今期、ロイロノートを利用したことによって、資料印刷や配布、回収にかかる時間が大幅に短縮されました。
  • 授業欠席学生への対応:ロイロノートは、欠席した学生でも、後から自分のスマホで講義資料を確認できるので、煩雑な手間がなくなりました。学生からも、資料がまとまって見られる(管理できる)ので、便利だったとの評価がありました。
  • 講義資料管理の効率化:ロイロノートは、アプリを開けば、資料が見られ、過去の分もまとめて簡単に管理することができるので、学生が資料を管理しやすくなりました。
  • 学生の主体的学習意欲の向上:大人数講義の場合、どうしても学生は「聞く人」という意識で、受け身になりがちでした。ロイロノートを導入したことで、学生が他者の回答を自分の回答と見比べたり、他者の意見を参照することができるようになりました。自分の意見が反映されることもあり、授業に参加している実感がわき、講義に出席しがいがあるといった意見もありました。

実践の目標

  • 大人数講義で、受け身ではなく主体的に講義に参加する姿勢(学習意欲)を習得する。
  • 正解をすぐに求めるのではなく、なぜそうなったかについての社会的要因を自分の頭で考える力を身に着ける。
  • フードサービス産業の特徴や市場形成の変遷について、自分の言葉で分かりやすく他者に説明できる。
  • フードサービス産業の現在の課題と将来の展望について、論理的に自分の意見を主張できる。

実践の場面

1. 講義資料を共有する

講義資料を150人の学生のスマホ画面に配布し、共有する。
スライドの資料を配布してほしいという学生からの要望はこれまで多くあった。
ロイロノートは、教師が画面からカードを送るだけで、学生と共有したい資料を瞬時に共有できる。
カラーで細かなグラフや統計数字などの資料を手元のスマホ画面で見られるため、以前よりも資料をきちんと見るようになったという学生の声もあった。

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2. 学生が発表する

学生に自分の意見について発表をしてもらい、大人数講義で学生が参加する双方向の授業を行う。
ロイロノートは、「この生徒に発表させる」という機能があるので、教師はカードを選択して、学生を指名する。
指名された学生は、手元の画面に「発表者してください」と表示されるので、発表者に指名されたことが分かる。
カードにはすでに学生自身の意見が記載されているので、学生からの発言を促すことが容易。
大人数講義で、学生に意見を発表してもらうのは至難の業だったが、ロイロノートを使うことで学生も発表しやすくなったように思う。

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3. 前回の授業を振り返る

毎回の講義の最後に、学んだことを200字で記述し、提出してもらっていた。
これまでは、同じことを紙で行っていたが、学生の手元に記録が残らず、自分が何を書いて提出したかを忘れてしまうということがよくあった。
ロイロノートは紙ではなくカードで記録し、教師に提出できるので、学生の手元にカードが残る。そのため、どのような内容をカードに記載したか確認することができ、学生の復習に役立っている。

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4. それぞれの意見を全体で共有する

「この問題に対して、あなたはどう考えるのか」ということを、ロイロノートのカードに意見を書き、教師に送信する。送信してもらった意見は、一覧で画面に表示。そうすることで、他の学生がどのような考えなのか参照でき、また自分の考えを捉えなおすことができる。大勢の前で発言はできないけれど、ロイロノートなら、意見を出しやすいという学生の声もあった。

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5. 提出物に手書きで添削し、返信する

教師は学生が提出したカードに、手書きで丸をつけたり、重要な視点のところには下線を引いたり、コメントを手書きで書き込んだりして添削をする。そして添削したカードを、学生個々に返信する。
学生からは、「一斉講義はなんとなく冷たい感じがするが、(ロイロノートを使うと)教員からの反応があり、学生との距離が近くなった感じがして良かった」という反応があった。

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6. 課題の提出確認を行う

異なる実験テーマを行ったグループ同士で、タブレットを使って発表を相互に行った。2台のタブレットを使い分けて、必要な情報をテンポ良く提示するグループがあり、上手に使いこなしていることが見て取れた。
実験の仕組みとしては非常に複雑であったにも関わらず、理解し、自分の言葉で説明できていたことは非常に印象的であった。

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