実践事例高等学校1年生物基礎1人1台タブレット

人間活動と生態系の保全

人間活動が生態系に与える影響について調べ、発表し、学び合おう

ロイロノート・スクールを活用したプレゼンテーションの構成を議論・検討して発表する授業を展開します。

「地球温暖化・富栄養化・生物濃縮・外来生物の移入・オゾン層破壊」からテーマを1つ選び、教科書やWebなどで調べ、ロイロノートのカードにまとめて発表用のスライドを作成します。
次に、同じテーマを調べた生徒で班を作り、作成したスライドをタブレットの画面上に提示しながら、班内で発表をします。その後、班員のスライドを班内の生徒間で共有し、各々の重要なカードをつなぎ合わせて班として1つのスライドを完成させます。このスライドを用いてクラス全体に発表することで、より充実した内容をクラス全員で共有することができます。
各班の発表後に、教師が質問を投げかけたり、補足や修正をすることで、生徒に理解してほしいポイントを整理していきました。

佼成学園中学校・高等学校
上野 裕之教諭

ロイロノート導入のメリット

  • タブレットでの発表スライドの作成を直感的に行うことができ、パワーポイントなどのプレゼンテーションソフトの使い方を知らない生徒でも、容易に取り組むことができました。
  • 生徒側はスライド提出が容易であり、教師側は提出物の確認や管理が容易にできます。
  • 生徒同士で作成したスライド(カード)を共有することができ、さらに、それぞれのスライドのカードを分割したり、つなぎかえたりすることが簡単にできます。この機能により、生徒同士のカードを組み合わせて1つのスライドを完成させるという作業が可能になりました。
  • クラス発表において、各班のスライドを各生徒のロイロノートに配信することで、生徒が作成したスライドを教材として共有することができます。

実践の目標

  • 人間活動が生態系に与える影響をテーマに、自身の興味のある事象について調べ、互いに発表し合う。そうすることで、多様な事例について理解を深めていく。
  • 班内でプレゼンテーションの構成を考えたり、他者の発表を聞いて評価しあったりすることで、“良いプレゼンテーション”に必要な要素を学ぶ。

実践の場面

1. 人間活動が生態系に与える影響について調べる

「地球温暖化・富栄養化・生物濃縮・外来生物の移入・オゾン層破壊」からテーマを自由に一つ選択する。
「現象の説明・原理・生態系への影響・具体的事例・対策」について、教科書やロイロノートの資料集、Webサイトなどを用いて調べる。その内容を発表用のスライドとしてロイロノートのカードにまとめて提出する。
これを冬季休業中の課題として事前課題することで、反転授業の要素を取り入れることとした。

(画像クリックで拡大)

2. 班内で個人発表をする

同じテーマを調べてきた生徒で集まって班を作る。
自分のタブレットの画面にロイロノートで作成したスライドを班のメンバーに提示しながら、調べた内容の発表と質疑応答を行う。
班のメンバーはそのテーマについて調べてきているが、調べている具体的事例などは様々であり、自分が知らないことについて発表を聞いて学ぶ機会となった。この作業により、互いにそのテーマについての理解を深めていくことができた。

(画像クリックで拡大)

3. ルーブリック評価による相互評価を行う

発表者以外の生徒は、発表内容をまとめるワークシートに自分が知らなかったことを記入していくと同時に、班内の生徒同士でルーブリック評価を行う。生徒間で評価をさせることでモチベーションを上げる要素となった。
なお、評価観点はあらかじめ、課題作成段階で生徒に提示しておく。そうすることで、生徒にとって、調べ学習のスライドをどのように作成すればよいか目安となる。

(画像クリックで拡大)

4. 班の発表用スライドを作成する

クラス全体へ向けた班の発表を行うためのスライドを作成する。
まず、班員は班長のロイロノートにスライドを送り、班長のタブレッドに班員の資料を集める。
次に、個人発表のそれぞれ良かった部分などを議論し、各班員から重要なカードを選定し、融合させて発表用の資料として利用する。それぞれの重要なカードをどう構成すればわかりやすいスライドになるかを相談し、班長のタブレット上で個々のカードをつなぎ合わせ、班として1つの発表用スライドを完成させていった。

(画像クリックで拡大)

5. 班ごとにクラス全体に発表し、学び合う

班員のスライドを集約させた班発表用のスライドを用いて、クラス全体に班発表を行う。発表を通して、そのテーマについて他のクラスメイトに教えていくことができる。
発表する班のメンバーは教室のスクリーンの前に集まり、原則として自分の作成したカードの部分はその作成者が説明をしていくことにした。
聞き手側は、自分の調べたテーマ以外の内容をワークシートにまとめることで学びながら、発表班の採点をルーブリック評価にて行う。また、生徒同士の質疑応答も発表後に行うことで、学びが深まっていった。

(画像クリックで拡大)

6. 教師からの質問やコメントを通して、要点を整理する

各班の発表は、それぞれ班員の内容を融合して作られているので、内容自体は大変充実しているものが多い。だが、各項目の説明を生徒に行なわせるジグソー法によるため、内容に間違いや取りこぼしがあることがある。
そこで、教師が質問を投げかけたり、補足や修正をしたりすることで、生徒に理解してほしいポイントを整理することが重要になってくる。教師が必ず各班の発表内容にコメントを入れることで、生徒達も安心して学習することができた。

(画像クリックで拡大)