生徒同士教え合いながら、理解力とコミュニケーション力を育てる授業を実践しています。
3人のグループを毎時間ランダムに作ります。問題の解説動画を、生徒それぞれのタブレットに送信し、グループの3人で一緒に動画を観て相談しながら理解していきます。
また、動画を送信する際に、練習問題のプリントも同時に送信。問題を解くときはノートに書かせ、それをそのまま教師に提出し、教師は丸付けを行います。丸付けの際、「3人の答えがそろっていないと丸付けしない」というルールを設けています。誰か1人でも違う解答を書いている場合は、問題の解き方について話し合ったり、教えあったりしないといけなくなり、3人がコミュニケーションを取りながら問題を解くようになります。
そして、最初に問題が解けたグループは、黒板に途中式と答えを書きます。そうすることで、悩んでいる生徒や、解答できていない生徒のフォローをするようにしています。生徒同士が教え合うことで、問題への理解度が高まり、コミュニケーション力を育てることができるのです。
小木曽 賢吾教諭
ロイロノート導入のメリット
- 動画とプリントをセットにして生徒のタブレットに送信することができるので、生徒にとってはどの動画がどのプリントの解説なのかが分かりやすいです。
また、解説動画が手元にあることで動画を見返すこともでき、個々の理解度に合わせた進度にすることができます。 - スマートフォンとタブレットの両方でロイロノートを使用できるので、教師が解説動画を作る際にタブレットへどう書けばよいのかを示しながらスマートフォンに録画ができます。また、ロイロノートのカメラで撮影することで、編集や取り込み、配信などの手間が大幅に減らせます。
- 生徒に動画やプリントを配信しても、生徒自身のタブレットに動画が保存されるわけではないので、タブレットの容量を心配しなくてもいい点が助かります。
実践の目標
- 毎時間ランダムにグループを組むことで、普段の生活ではあまり話さないクラスメートとでも協働して取り組む姿勢を養う。
- 人に教えることで理解を深めながら、仲間とのコミュニケーション能力を育てる。
- 主体的に取り組み、協力して課題を達成できることで達成感を味わう。
- わからないところをすぐに聞けるようにする。
実践の場面
1. 前時までの内容の復習をする
B6サイズの紙プリントを使って、前時までの数時間分の授業内容を復習する。
同じ内容で数字を変えた程度のものを次の授業(さらに次の授業)でも行う。1つのパターンで2~3回の復習をすることで、学習を定着させる。そして、パターンを2回行ったところで、その2パターンから出題する小テストを実施する。
2. 3人のランダムグループを作る
毎時間、ランダムに3人グループを組ませる。
その際、トランプを使い、Aを3枚、2を3枚、3を3枚・・・と生徒の人数分になるよう用意をしておく。生徒に1枚ずつ引かせ、同じ数をひいた人同士でグループになる。余りの生徒が出る場合はどこかを4人にして調整する場合もある。
生徒自身が引いたトランプでグループが決まるので、毎回ワクワク感やドキドキ感を感じさせながら学習に意欲を持たせている。
3. 解説動画とプリントをロイロノートで配信する
小テストで出題した問題の解説動画を、生徒それぞれのタブレットに送信する。生徒はグループの3人で一緒に動画を観ながら、わからない場合は止めたり戻したりして、相談しながら理解していく。
また、動画を送信する際に、練習問題のプリントも同時に送信する。
4. 練習問題をノートに解く
数学の問題は「紙と鉛筆」が本質的に合っているとの考えから、問題を解くときはタブレットに書くのではなくノートに書かせている。
また、ロイロノートで解答を教師に送信して提出することもできるが、教師が3人の解答を比較して見るには、ノートの方が見やすいため、ノートでの提出をするようにしている。
5. 3人の答えをそろえて教師に見せる
3人とも解き終わったら、ノートを直接教師に持っていき、教師はその場で丸付けをする。この時のルールは「3人の答えがそろっていないと丸付けしない」というもの。教師に提出する前に、解答を3人で見せ合い、誰か1人でも違う解答を書いている場合は、問題の解き方について話し合ったり、教えあったりしないといけなくなる。
そうすることで、ほとんどの場合は3人がコミュニケーションを取りながら問題を解くようになる。
6. 3人ともできたら、次の解説動画とプリントを配信する
最初にできたグループは黒板に途中式と答えを書かせる。そうすることで、悩んでいる生徒や、解答できていない生徒のフォローができる。
また、教師が生徒たちへ教えに行くことを減らし、グループ内での教え合いが増えるようしている。ただ、全体的に理解が進まない場合は解説を入れることもある。
グループごとに進度が違う場合がほとんどなので、1時間でどこまで問題を解くのかをあらかじめ決めておき、そこまで進んだグループから宿題に取り組ませるようにしている。