実践の概要
前時に学習した疑問詞(Who/Where/What)について確認するため、洋楽のリスニングとプリントの穴埋め問題を解きます。
次に、教師が作成したスライドを電子黒板に映します。スライドは3枚の写真で構成されていて、1枚目は有名人の顔写真、2枚目は出身地や国旗、3枚目は有名人の職業が分かる写真を見せて、児童に質問をします。
その後、リーディングテストを行うために4つの重要なポイントである、「Fluency:流暢さ」「Accent:少し強く読む」「Intonation:語尾の上げ下げ」「Context:感情を乗せる」を確認します。プリントの英文を全員で音読したあと、ペアを組んでお互いに練習をしてから、リーディングの様子を動画撮影して提出します。提出した動画は電子黒板に映して、この児童の良かったところ・大事だと思うところ・もう少し改善した方がいいところを全員で確認します。
そして、前時の調べ学習で用意した3枚の写真を用いて、コミュニケーション活動を行います。まず教師と児童1名で会話のデモンストレーションを行い、1分間自分で練習します。練習後、児童同士でコミュニケーション活動をします。コミュニケーション活動を終えてから、印象に残っている児童について聞き、選ばれた児童のスライドを紹介します。
授業の最後に、リフレクションシートを記入してカメラで撮影し、カードにします。その写真カードと本時に作成した動画カードをつないで、提出箱に提出します。
ロイロノート・スクールを導入したことで授業がどう変わったか?
以前はテキスト中心でライティングに力を入れてしまい、英語という言語なのに子ども達が教室の中で全然喋らないという、語学学習らしくない授業だった。折角学校という空間にみんなが集まっているので、リーディングをしたり、喋る活動が大事だが、そうした活動ができていなかった。
ロイロノートを導入して以来、英語の4技能(聞く、話す、読む、書く)をバランスよく学習・育成することができるようになった。友だち同士でリーディングの練習に励んだり、会話の練習を容易に行うことができる。ライティングでは、与えられたワークシートを解くのではなく、自由に調べ学習をして英文を書くことができる。自分で考えて、主体的に取り組むことができるため、リーダーシップや協調性も養われてきている。ロイロノートでは共有が簡単にできるので、クラス全体で復習したり見合うことで、良いポイントや改善点を上げて、全員で高め合うことができるようになった。
授業中にリーディングやスピーキングを評価するのは難しかったが、児童に動画や写真撮影したものを提出してもらうことで、放課後、教師の時間のある時にいつでも確認することができる。
ロイロノートのように記録に残るツールを使うことで、この児童は今どういう段階にいて、これからどういう風に伸びていくのか、どういう点が足りないのか、など客観的に評価することができる。
実践の目標
- 疑問詞(Who / Where / What)の文章を使って、話す、聞く、書く、読む力をバランス良く向上させる。
- イントネーションや発音に気をつけて、文脈に配慮し読むことができる。
実践の場面
1. 前時の確認:洋楽のディクテーション
前時に学習した疑問詞について思い出させるために、YouTubeからBack street boys の“As long as you love me”を流して、リスニングと配布したワークシートの穴埋め問題を解く。
2. 疑問詞:Who/Where/Whatの復習
まず、教師が作成した3枚のスライドを電子黒板に映す。スライドは、1枚目は有名人のアップの顔(職業が分からない)写真、2枚目は有名人の出身地の地図や国旗など、3枚目は有名人の職業が分かる写真で構成されている。
スライドを見せながら、1枚目:Who is [he/she]? 、2枚目:Where is [he/she] from? 、3枚目:What dose [he/she]do?と生徒に問いかける。
3. リーディングのポイントを確認する
リーディング時のポイントである、「Fluency:流暢さ」、「Accent:少し強く読む」、「lntonation:語尾の上げ下げ」、「Context:感情を乗せる」ことの4点を確認する。イントネーションや発音に気を付けて、文脈に配慮しながら、クラス全員で音読する。
4. ペアで練習後、リーディングの様子を撮影をして提出する
場面3でリーディングのポイントを確認したら、ペアを組んで5分間リーディングの練習をする。練習後、お互いに自分のリーディングの様子を動画撮影する。撮影した動画を提出箱に提出する。
提出された動画の中からいくつか教師がピックアップして、電子黒板に映して全体に紹介する。良かったところ・大事だと思うところ・もう少し改善した方が良いところを全体で確認する。
5. ロイロノートを用いて、コミュニケーション活動を行う
前時の調べ学習で用意した3枚の写真を使って、コミュニケーション活動を行う。まず教師と生徒1名でデモンストレーションを行い、1分間自分のコミュニケーションノートで練習する。
その後、児童同士でペアになり、コミュニケーション活動をする。この時、タブレットの画面を相手の方に見せることを意識する。
活動を終えてから、印象に残っている児童について聞き、選ばれた児童のスライドを紹介する。
6. 本時の振り返りをする
リフレクションシートを記入し、ロイロノートのカメラでシートを撮影してカードにする。その後、撮影したリフレクションシートの写真が先頭にくるように、本時に作成した動画カードなどをすべてつなげて提出する。
最後に提出された数人のリフレクションシートを電子黒板に映して、全員で読む。
ロイロノート・スクールを活用した
グループワークの紹介
Writing
【授業の終わり or 単元の定着確認】(準備するもの:1人1台タブレット・電子黒板)
ある程度コミュニケーションやリーディングで文の形が身についたら、ライティングを取り入れる。電子黒板に単元目標の文法が入った日本語の文を提示し、英作文か並べ替えでライティング問題を提示する。提出してもらってその場で答えの確認をするか、提出してもらって教師が後日確認する。または答えをノートに書かせても良い。
【授業のメイン】
2人1組のペアグループを作り、児童同士で問題を2問作成して出し合う。教師が電子黒板を使って、どことどこの単語を変えていいのか指示する。スペルが分からない場合は、ロイロノートのWebカードを用いてスペルを調べるか、教科書やワードブックから調べる。教師は問題を作成する時間を決めて、一人ひとり作成できているかどうか机間巡視する。全員が問題を作成し終えたら、自分のタブレットと相手のタブレットを交換して、自分の作成した問題を相手の問題と交換する。答えを書き入れたら、二人で両方のタブレットの答えを一緒に確認していく。間違えていたら赤色鉛筆で訂正させる。
【授業のメイン:When is ~の文の定着】
「有名人の誕生日を調べて、発表してみよう」と題し、4~5人のグループに分かれる。始めに、教師が今日のライティングの目標の形を児童に見せ、同じものを作り、発表することを目標にすると伝える。児童がロイロノートにログインして準備ができたら、Web検索の方法を教えて有名人の誕生日を調べていく。誕生日をテキストに書いていき、早く出来上がった児童は2枚目も作成してよい。提出箱を作り、クラス全員が提出できたら発表をする。このとき、全員が発表できるように時間を調整していく。
Speaking
【授業のメイン:Do you~? What’s this? Who is~?など】(準備するもの:1人1台タブレット・電子黒板)
タブレットを使用して、好きなものの写真やイラストをロイロノートのWebカードを用いて探すか、教室に掲示しているイラストを8~10枚写真に撮り、カードとしてすべてつなげておく。次にペアになり、じゃんけんで勝った児童が、相手に写真を見せながら「Do you like tennis?」と聞く。相手は「Yes, I like tennis.」もしくは「No, I don’t like tennis.」というロールプレイを行う。終わったら相手が写真を見せながら「Do you~」と聞く。これを児童同士でお互いの写真が無くなるまで、コミュニケーション活動をする。(また学年の資料箱に素材をあらかじめ入れておいて、その素材を組み合わせて会話する方法も可能)
【授業のメイン:どの単元でも使える】(準備するもの:教師のみタブレット)
あらかじめロイロノートの資料箱にコミュニケーションシートを入れておき、そこから児童が資料を使う。または、教師がロイロノート上かプリントとして配布する。教師はスピーキングの評価として使うため、タブレットで撮影してロイロノート上に保存する。時間があるときに全員で見て、誰のどのような点が良かったか、もしくは改善点を共有しあう。
Reading
【授業のメイン】(準備するもの:1人1台、もしくはグループに1台タブレット・電子黒板)
タブレットを持って、相手のリーディングの様子を撮影し合う。 教師は提出箱を作成し、リーディングを撮影した動画を提出する。あらかじめ、リーディング4つのポイントを確認しておき、よりクオリティーの高い音読を目指す。事前にこのような練習方法があると2~3個与えておくが、練習方法をグループで決めさせたり、リーダーに決めさせることで、個々のリーダーシップや協調性など人間性に関わる部分の成長も見られる。グループやペアを組ませることで、みんなで一緒に上手に読めるようになり、できる子ができない子に教えてあげる場面も見られるようになった。
Listening
【授業の始まり・終わり】(準備するもの:1人1台タブレット・電子黒板)
ペアかグループでディクテーションを行い、何と言っているのかみんなで予想したり、共有することができる。洋楽や簡単な歌、児童が知っている歌のワークシートを作成し、ディクテーションさせる。また1人1台タブレットを持たせて、何らかの英会話の場面や簡単なスピーチや講演などを聞いて、どんなことを話しているのか、単語だけでもいいから何が聞き取れたのか、どんな情報を掴むことができたかロイロノートに書き出して、共有する。それをグループかペアごとに発表する。その会話に出てきたフレーズを一部取り上げ、コミュニケーション活動につなげていく方法でも良い。
調べ学習+Speaking
【授業のメイン:Who/Where/What】(準備するもの:1人1台タブレット・電子黒板)
有名人の出身地や職業などを調べて、コミュニケーション活動をする。ロイロノートのWebカードを用いて、3枚の画像「1枚目:有名人のアップの顔写真(職業が分からないもの)」「2枚目:出身の地図や国旗」「3枚目:有名人の職業が分かるもの」を児童一人ひとり用意させる。それを活かして、Who is he / she?、Where are he / she from?、What dose he / she do? の文をコミュニケーション活動で定着させる。
教師が用意したワークシートではなく、児童が作成したワークシートで会話を行うことで、モチベーションも高まる。また、お互いの調べた有名人について知ることができるため、興味・関心を高めることができる。
今回実践紹介にご協力いただいた、菅生学園初等学校様のウェブページはこちらです。
菅生学園初等学校