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聞くだけの受け身から 自分で考え、学ぶことを意識しはじめている


大人数の一斉講義にスマホを活用して双方向授業へ

日本大学生物資源科学部
食品ビジネス学科
久保田 裕美助教





大学、一斉講義での現状の問題

・膨大な講義資料の印刷、配布、回収の手間

・教師の一方的な発信が生む学生の受け身授業

・学生同士で個々の意見を知ることができない

・提出物に対して教師のフィードバックが遅い

・その場で疑問が解決できないので興味が薄れていく

・週1回の授業のため生徒が前回の授業を忘れている



ロイロノート・スクール導入のメリット

資料準備と配布・回収にかかる手間の節約
講義資料を学生個人のスマホに送信するため、資料を紙に印刷して配る必要が無くなりました。フィードバック用紙の回収も学生のスマホから手早く送信できます。受講者が150名以上のこの授業でも、以前より配布・回収の時間が大幅に短縮されました。

双方向授業で学生の主体性が向上し「聞く人」から「発信する人」に
元来の一斉講義では教師の発信力は強い半面、学生は「聞く人」になりがちでした。ロイロノートは講義を聞くだけでなく、自分の意見を発信できるようになりました。学生からは、講義内で自分の意見が反映されることもあり講義に出席し甲斐があるという声もありました。

授業内で行える学生同士の意見の共有化
ロイロノートでは教師と学生の対話だけでなく、学生同士が意見を共有することもできます。学生が他者の回答を自分の回答と見比べたり、他者の意見を閲覧できます。発言は恥ずかしいけれど、ロイロノートなら意見を出しやすいという声もありました。

個人のスマホから授業のフィードバックを簡単に
アプリを開けば過去の授業資料を一覧できるため、欠席した学生も資料をチェックしやすくなりました。さらに過去の提出資料もアプリを通して手元に残るため、前回までの授業で何を学んだかを学生自身がすぐ確認できます。



実践の概要

大学の一斉講義において、資料配布の効率化を目的にスマホで一斉講義を行えるロイロノート・スクールを導入しました。
資料の一斉配信による作業時間の短縮に加え、授業の進行に合わせた資料提示が可能となり、これまでの知識伝達型の授業から、学生の考えや意見によって授業を作っていく双方向授業ができ、一体感とリズムがうまれました。

「この問題に対して、あなたはどう考えるのか」ということを、学生はロイロノートのカードに意見を書き、教師に送信します。送信してもらった全員の回答を共有し、学生にそれぞれの意見を比較してもらいます。教師は学生が提出したカードに添削をし、そのカードを学生個々に返信します。また、授業の最後に前回の課題を提出したかどうか確認をします。提出したかどうかの未提出者の管理は、教師の画面で一覧表示されるため、確認作業が一覧を確認するだけで終わり、大幅な時間短縮となりました。

ロイロノートを使うことで、大人数講義であっても学生が授業に参加できる機会を提供できるようになり、学生の学習意欲も向上しました。



実践の目標

・大人数講義で、受け身ではなく主体的に講義に参加する姿勢(学習意欲)を習得する。

・正解をすぐに求めるのではなく、なぜそうなったかについての社会的要因を自分の頭で考える力を身に着ける。

・フードサービス産業の特徴や市場形成の変遷について、自分の言葉で分かりやすく他者に説明できる。

・フードサービス産業の現在の課題と将来の展望について、論理的に自分の意見を主張できる。



実践の場面


1. 講義資料を共有する

講義資料を150人の学生のスマホ画面に配布し、共有する。
スライドの資料を配布してほしいという学生からの要望はこれまで多くあった。
ロイロノートは、教師が画面からカードを送るだけで、学生と共有したい資料を瞬時に共有できる。
カラーで細かなグラフや統計数字などの資料を手元のスマホ画面で見られるため、以前よりも資料をきちんと見るようになったという学生の声もあった。




2. 学生が発表する

学生に自分の意見について発表をしてもらい、大人数講義で学生が参加する双方向の授業を行う。
ロイロノートは、「この生徒に発表させる」という機能があるので、教師はカードを選択して、学生を指名する。指名された学生は、手元の画面に「発表者してください」と表示されるので、発表者に指名されたことが分かる。
カードにはすでに学生自身の意見が記載されているので、学生からの発言を促すことが容易。
大人数講義で、学生に意見を発表してもらうのは至難の業だったが、ロイロノートを使うことで学生も発表しやすくなったように思う。




3. 前回の授業を振り返る

毎回の講義の最後に、学んだことを200字で記述し、提出してもらっていた。
これまでは、同じことを紙で行っていたが、学生の手元に記録が残らず、自分が何を書いて提出したかを忘れてしまうということがよくあった。
ロイロノートは紙ではなくカードで記録し、教師に提出できるので、学生の手元にカードが残る。そのため、どのような内容をカードに記載したか確認することができ、学生の復習に役立っている。





4. それぞれの意見を全体で共有する

「この問題に対して、あなたはどう考えるのか」ということを、ロイロノートのカードに意見を書き、教師に送信する。送信してもらった意見は、一覧で画面に表示。そうすることで、他の学生がどのような考えなのか参照でき、また自分の考えを捉えなおすことができる。大勢の前で発言はできないけれど、ロイロノートなら、意見を出しやすいという学生の声もあった。




5. 提出物に手書きで添削し、返信する

教師は学生が提出したカードに、手書きで丸をつけたり、重要な視点のところには下線を引いたり、コメントを手書きで書き込んだりして添削をする。そして添削したカードを、学生個々に返信する。
学生からは、「一斉講義はなんとなく冷たい感じがするが、(ロイロノートを使うと)教員からの反応があり、学生との距離が近くなった感じがして良かった」という反応があった。




6. 課題の提出確認を行う

授業の最後に、前回の授業で出した課題を提出したかどうか、確認する。
学生は課題をカードに書いて教師に送信するという提出方法を取っているため、提出したかどうかは教師の画面で一覧表示される。
誰がいつ提出したかどうかが簡単に把握でき、紙で学籍番号順に並べたり、一枚一枚チェックしたりする作業がなくなり、大幅な時間短縮となった。