実践事例中学校3年4人2台タブレット

理科

自然環境の保全と科学技術の利用


和歌山大学教育学部附属中学校
矢野 充博教諭

ロイロノート・スクールを活用して遊び心のあるデジタルブックを作成する活動を通して、創造力と協調性を育みます。

創造力と協調性を育むために、4人グループでデジタルブックを作成します。中学校3年理科の「自然環境の保全と科学技術の利用」に関して9つのテーマから1つ選び、5時間かけて作成、2時間で閲覧することで学びを深めていきました。デジタルブック作成の際、「学べるもの」、「ストーリー」、「触りたくなる工夫」の3つを大切にするよう伝えます。
まず、Webや教科書、資料集などから調べたことをロイロノート・スクールでまとめ、グループで載せるべき内容を考えます。デジタルブックのコンテンツとしてどの情報を使えば、読者がより深く学べるのかを意識して、たくさんのカードの中から必要なものを選んでいきました。その後、デジタルブックの内容に関するコマ撮りムービーを撮影。ページの構成を考えるために、読者がわかりやすくて楽しく読めるような工夫をしました。また、ページのどこかに読者が触りたくなるような仕掛けを設置。その1つとして、ボタンを押せば音声による語りが流れるようにしました。最後に、全てのクラスのグループが作成した36冊のデジタルブックを2時間かけて閲覧し、それぞれのテーマごとに生徒が評価しました。


ロイロノート導入のメリット

  • グループで情報収集したことをすみやかに共有することで、視点が焦点化できるとともに、話し合いの時間を十分に確保できたり、試行錯誤によってより質の高いものを作成したりすることができました。
  • カードの並び替えが、矢印を繋ぎ変えるだけで簡単にできるので、デジタルブックのストーリーを順序立てて考えることができました。
  • カードの情報はいつでも参照することができるので、次の授業時間でも簡単に前の続きから授業を開始することができました。特にデジタルブックの作成に使えそうなWebの情報を一時的に保管することに、非常に有効的でした。

実践の目標

  • 創意工夫を凝らして、「学べる」、「ストーリー性のある」、「触ってみたい」と思えるようなデジタルブックの作成を通して、創造力を育む。
  • グループでコマ撮りムービーを撮影して、話し合いながらデジタルブックを作成することを通して、協調性を育む。
  • 「自然環境の保全と科学技術の利用」に関するデジタルブックの作成および閲覧することを通して、持続可能な社会に貢献することに興味を持ち、自身の将来と結びつけて考えられる。

実践の場面

1. テーマに関する情報を収集する

グループのテーマを自分たちで選択して、Webで情報を調べる。調べたことはロイロノート・スクールのカードにまとめて、カードを作成してためていく。以下の9つのテーマを提示した。

  • 知床の生態系
  • 深海の生態系
  • 北極や南極における地球温暖化の影響
  • エルニーニョ現象とラニーニャ現象による影響
  • 外来生物
  • 和歌山の天神崎のナショナルトラスト運動
  • 火山や地震による災害と恩恵
  • 最近の科学技術の発展
  • 持続可能な社会のために
(画像クリックで拡大)

2. 集めた情報を整理する

たくさんの情報を同じグループのメンバーと共有して話し合うために、ロイロノー・スクールのカードを1つのタブレットに送って集めた。デジタルブック作成の際、「学べるもの」、「ストーリー」、「触りたくなる工夫」の3つを大切にするよう伝えた。この場面では、デジタルブックのコンテンツとしてどの情報を使えば、読者がより深く学べるのかを意識して、たくさんのカードの中から必要なものを選んでいった。

(画像クリックで拡大)

3. コマ撮りムービーを作成する

自分たちが最も伝えたいことが何なのかを考えた後、そのことに関して、色画用紙で作成した模型を使って、アプリ「ストップモーションスタジオ」でストーリー性のあるコマ撮りムービーを撮影した。事前にロイロノート・スクールのカードにアイディアを書いておき、それを見ながら具体物を少しずつ動かして、自分たちが表現したいムービーを撮影した。ユーモラスで個性豊かなムービーがたくさんできあがった。

(画像クリックで拡大)

4. ストーリーを考える

デジタルブックのそれぞれのページを単なる情報の寄せ集めにするのではなく、1冊を通してストーリー性のある作品を目指した。そこで、ページの構成を考えるために、情報がつまったカードを並び替えて、伝えたいストーリーを考え、読者がわかりやすくて楽しく読めるような工夫をした。

(画像クリックで拡大)

5. 音声を入力する

デジタルブックのインタラクティブ性を高めるために、ページのどこかに読者が触りたくなるような仕掛けを設置した。その1つとして、ページ内にボタンを付け、このボタンを押せば音声による語りが流れるようにした。生徒はロイロノート・スクールのカードに原稿を入れておき、それを読みながら録音していた。

(画像クリックで拡大)

6. 全てのデジタルブックを閲覧して評価する

2人に1台ずつタブレットを渡し、全てのクラスのグループが作成した36冊のデジタルブックを2時間かけて閲覧した。
そこから学んだことをワークシートにまとめて、さらにそれぞれのテーマごとに生徒が、「学べるものであったか」、「ストーリー性はあったか」、「インタラクティブ性はあったか」の観点で評価した。

(画像クリックで拡大)