海洋における生物多様性や、プラスチックごみ問題について考えるパフォーマンス課題を行った。
自然事象において解決すべき課題に遭遇したとき、理科の見方・考え方を働かせて原因となる要素に気付き、現状をよりよくするための方策が立てられることをめざした。
科学的な探究のプロセスにおいて、適した観察や実験の技能を定着できるよう、ルーブリックにもとづいて個人やグループで成果を評価し合い、進捗状況を即時的に共有して振り返りを行う活動を行った。ここでは、自己評価、相互評価の場面を抜粋して紹介する。
生徒は課題の本質を自分事としてとらえ、見通しをもって粘り強く取り組むことができた。
【パフォーマンス課題】
「2050年には、海の魚の量とプラスチックごみの量が同じになると言われている。現在、世界で海洋のごみ問題に関する対応が話し合われている。しかし、プラスチックは便利なため、使用禁止という選択は難しいだろう。これについて、海洋ごみ問題の解決に向け、あなたたちが考える具体的な方策について科学的な根拠を示し、他の人に分かりやすく説明しなさい。」
課題の設定にあたっては、「パフォーマンス評価のためのGRASPS(Wiggins & McTighe(2005))」を参考
本単元におけるルーブリックを作成し、パフォーマンス課題に対する意欲を高めた。
評価の視点に、「習得した知識の活用」「観察・実験の技能」「データの整理」を設定した。それぞれの視点におけるA評価の規準のみ教師から提示し、B評価とS評価は生徒自身が作成した。評価規準のアイディアをロイロノート・スクールに提出し、全員で共有しながらルーブリックを完成させた。
グループで観察・実験した結果や、方策立案のプロセスを全体に共有し、他者の考えと比較、検討した。また、遠隔で参加してもらったマイクロプラスチックに関する研究者(水川薫子:東京農工大学 農学研究院物質循環環境科学部門 助教)から適確な助言をいただいた。これにより次時以降、更に必要な調査活動や実験を行うための見通しをもつことができた。
生徒は、毎時間の振り返りをロイロノート・スクールに蓄積し、いつでも閲覧できるようにしている。自己評価・相互評価は、ルーブリックにもとづいて、カードの色を変えてコメントを記入した(S:ピンク、A:白、B:ブルー)。
グループ内だけでなく、グループを越えて協働して観察・実験等を行ったメンバーにもカードを送りあって相互評価を行った。即時的なフィードバックが可能となることで、生徒はその都度、目標を設定し直したり、実験手段を修正したりすることができた。